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2020年3月27日 (金)

公園条例に基づく公告がなされたことをもって都市公園法2条の2に基づく公告がされたといえるか(否定)


最高裁R1.7.18    
<事案>
①Xが、本件土地を公園の敷地として占有するY市に対し、本件土地につきXが所有権を有することの確認並びに所有権に基づく本件土地の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求める本訴と、
②Y市が、Xに対し、本件土地につきY市が所有権を有することの確認及び所有権に基づく真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求める反訴 

最高裁では、Xの本訴請求中、本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求の可否に関し、都市公園を構成する土地物件に対する私権の行使の制限を定める都市公園法32条の適用をめぐり、本件土地を敷地とする公園が都市公園法に基づいて設置された都市公園に当たるか否かが争われた
 
<原審>
都市計画区域内にある本件土地においては、公園として整備され、本件条例に基づき本件公園の名称、位置及び利用開始の期日が公告されており、都市公園法2条の2に基づく公告がされたといえる
⇒本件公園は都市公園に当たる
⇒Xの本訴請求中、本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求に係る部分を棄却。 
 
<判断>
都市計画区域内にある公園について、本件条例に基づく公告をされたことをもって、都市公園法2条の2に基づく公告がされたとはいえない。
⇒原判決中X敗訴部分を破棄し、
Xの本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求が権利濫用に当たるか否か等について、更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻した。 
 
<解説> 
都市公園法:
都市公園を構成する土地物件についての私見の行使の制限、公園施設の設置・管理の許可制度、都市公園の占有の許可制度といった私人の権利に重大な影響を与える規定が適用。 
 
一般に、公共用物の成立には、原則として、
その物を一般公衆の使用に供することのできる形態(実体)を整えること(形体的要素)
これを公共用物として一般公衆の使用に供する旨の行政主体の意思的行為(公用開始行為)が必要。
公用開始行為の法的性質については、当該物件に公物性が付与され、各種の法的規律が発生⇒事実行為ではなく、行政行為の一種であると解するのが通説。
 
都市公園法:
都市公園の公用開始行為に関し、都市公園は、その管理をすることとなる者が、当該都市公園の供用を開始するに当たり、
都市公園の区域(❶)その他政令で定める事項を公告することにより設置されるものとする旨を規定。
その委任を受けた都市公園法施行令9条は、前記の政令で定める公告すべき事項を都市公園の名称(❷)及び位置(❸)、供用開始の期日(❹)と定めている。

都市公園についてはこれを構成する土地物件に対する私権の行使の制限等が予定⇒都市公園を設置するための要件として、その管理をすることとなる者において、
❶~❹を公告することにより、都市公園としての供用開始を明らかにし、その区域(❶)をもって都市公園法の適用対象となる都市公園の範囲を画することとした。
but
本件条例は、本件条例に基づく公園につき、配置及び規模の基準に関する規定や私権の制限(都市公園法32条)を始めとする私人の権利に重大な影響を与える規定等を置いておらず、また、その設置については、その名称、位置及び利用開始の期日を公告する旨を規定しているが、都市公園の場合とは異なり、その区域を公告することは予定していない。
判例時報2431

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