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2020年2月 9日 (日)

有期契約労働者と無期契約労働者との労働契約の相違が不合理とされた事案

東京高裁H30.12.13    
 
<事案>
一審被告である日本郵便㈱との間で、有期労働契約を締結した一審原告X1からX3までが、無期労働契約を締結しているY社の正社員と同一内容の業務に従事していながら、手当及び休暇の労働条件について正社員と相違があることが労契法20条に違反

正社員の給与規程及び就業規則の各規定がXらにも適用される労働契約上の地位にあることの確認を求めるとともに、
労契法 20条施行後について、
主位的に同条の補充的効力を前提とする労働契約に基づき正社員の諸手当との差額の支払を求め、
予備的に不法行為に基づき、同額の支払を求めた。
 
<判断>
次のとおり判断し、
認容額を年末年始勤務手当及び住居手当相当額全額に変更、
休暇の相違に係る損害賠償請求について、病気休暇に換えて無給の承認欠勤を取得した日及び有給休暇を使用した日の賃金相当額の限度で認容。

その余の原判決の結論は維持。
新人事制度において、新一般職を比較対象として労働条件の相違が不合理と認められる場合は、労契法20条に違反することになる。
正社員に対してのみ年末年始勤務手当を支払い、時給制契約社員に対し、当該手当てを支払わないこと及び
新一般職に対して住居手当を支給する一方で、時給制契約社員に対してこれを支給しないことは、不合理であると評価することができる。
正社員に対して夏季冬期休暇を付与する一方で、時給制契約社員に対してこれを付与しないという労働条件の相違及び
病気休暇について、正社員に対し私傷病の場合は有給とし、時給制契約社員に対し無給としている労働条件の相違は、不合理であると評価することができる。
病気休暇の日数の点は、不合理であると評価することができるものとはいえない。
Xらは、年末年始勤務手当相当額及び住居手当相当額の損害を被ったと認められる。

Xらが現実に夏季冬期休暇が付与されなかったことにより、賃金相当額の損害を被った事実、すなわち、Xらが無給の休暇を取得したが、夏季冬期休暇が付与されていれば同休暇により有給の休暇を取得し賃金が支給されたであろう事実の主張立証はない。
X3は病気休暇が無給のため、無給の承認欠勤を取った日の賃金相当額の損害及び有給休暇を使用し、その使用権が消滅した当該日の賃金相当額の損害を被ったことが認められる。
Xらに病気休暇の相違による精神的苦痛の損害が発生した事実は認められない。
 
<解説>
労契法20条については、
最高裁H30.6.1ハマキョウレックス事件
最高裁H30.6.1長澤運輸事件

①有期労働契約のうち同条に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効
同条に違反する場合であっても、同条の効力により当該有期契約労働者の労働条件が比較の対象である無期契約労働者の労働条件と同一のものとなるものではない
③同条による「期間の定めがあることにより」とは、有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであることをいう、
④同条にいう「不合理と認められるもの」とは、同労働条件の相違が不合理であると評価することができるものであることをいう、
⑤個々の賃金項目に係る労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては、両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく、当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき

本判決:
新人事制度において、Xら契約社員と労働条件を比較すべき正社員について、正社員全体と比較すべきか、新一般職のみを対象とすべきかの観点から検討し、
新一般職は地域機関職とは連続性がない格別の職員群⇒新一般職を比較対象。

一審判決:
①年末年始勤務手当について
長期雇用への動機付けという意味がないとはいえない⇒正社員のように長期間の雇用が制度上予定されていない時給制契約社員に対する手当の額が、正社員と同額でなければ不合理であるとまではいえない
⇒正社員への支給額の8割相当額を損害と認めた
②住居手当の相違について、
正社員に対する長期的な勤務に対する動機付けに向けた福利厚生の面も含んでいる⇒正社員への支給額の6割相当額を損害として認めた。
but
本判決はそれを採用せず、手当相当額全額を損害と認めた。
判例時報2426

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