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2020年2月26日 (水)

国有林の分収育林制度に基づく分収育林契約における国の義務

大阪地裁R1.5.10    
 
<事案>
国有林野の管理経営に関する法律17条の2~6に規定された分収育林制度に基づき、被告(国)との間で分収育林契約を締結して国有林野に育成する樹木を被告と共に共有し、又はその持分を承継取得した原告らが、
被告が分収育林契約上の管理経営計画に記載された実施年度に主伐を実施しなかったことが債務不履行に当たる⇒分収育林契約を解除したと主張して、分収育林契約の締結時に支払った金額の返還等を求めた。 
 
<争点>
被告が分収育林契約上いかなる債務を負っていたのか。 
 
<判断> 
● 分収育林契約において、被告の義務の中核となっているのは、同契約における最終的な目的である分収木の販売収益の分収の前提となる、管理経営計画に従った分収木の保育と販売を行うこと。 

本件分収育林制度における収益分収の方法は、分収木の売買代金をもって行う代金分収の方法が採用されている。
but
分収木について売買契約を締結するには、一般競争入札の方法によることとなるが、入札者若しくは落札者がいない場合又は落札者が契約を結ばない場合には、分収木についても売買契約が成立しない場合もあり得ることになり、このような事態が生じることは、制度上、やむを得ないこと。

被告において、直接、分収金の配分を行うことは想定されていない

分収木の販売に係る被告の義務は、分収木の販売等の手続を行うことに止まりそれを超えて、分収育林契約の対象となっている分収木について、買受人との間で分収木についての売買契約を成立させたり、分収金の配分を行ったりする義務を負うものではない
 
● 原告:立木販売方式により売却先が見つからない場合には素材販売を行うべき義務を負っていた。
vs.
①「主伐」という用語それ自体は、分収木を伐採するとの意味で使用されているものとみるのが相当であるとしつつも、
分収木を立木販売方式により売却することは合理的であり、製品販売の方式によって売却することは、制度設計上も想定されていなかった

「分収(主伐)の時期」との記載は、分収育林契約の対象となった分収木について「間伐ではなく主伐による分収が行われるべき時期」を意味しているにすぎないとして、原告の主張を排斥。 
 
<解説>
原告:
分収育成契約の契約書や管理経営計画に「主伐(分収)の時期」等との記載があり、これは法定所定の「伐採の時期」に対応するもの
⇒主伐とは伐採を意味してり、被告は同契約上、分収木を伐採した上で、素材販売の方法で売却すべき義務を負っていた旨を主張。
vs.
①同契約書上、被告が分収木を伐採すべき義務を負うことが明示されているわけではない
同契約書の各条項の内容からみても、被告が分収林を伐採すべき義務を負っていることを認めるべき記述は見当たらない

原告主張の債務の存在を認めることはできないと判断。 

判例時報2428

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