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2020年2月21日 (金)

建築士の過失が否定された事例

東京高裁H28.10.13    
<事案>
店舗駐車場につながる車路スロープの構造設計を途中から引き継いだ建築士である被告人が、自らの設計内容に問題はないものの、その設計内容を設計・工事管理の総括責任者である意匠設計担当者に正確に把握できるように適切に配慮すべき注意義務に違反⇒有罪とされた事件の控訴審。 
 
<原審>
起訴当時の素因は、まさに、被告人自身の設計内容が、床スラブで接合しない危険な内容であると把握して、そのような構造設計をしたこと自体を過失としていた
=検察官は、被告人の客観的な設計内容を取り違えて起訴

検察官の訴因変更請求(床スラブにより接合するとの前提で構造設計をしたことを意匠設計担当者が正確に把握できるように適切に配慮しなかった過失への変更)を許可し、その変更された訴因に沿った過失を認定。 
 
<判断>
原審が認めた配慮する義務自体を原則的に否定。

被告人は、自らの設計内容を変更後構造計算書や変更後構造図を示すなどして意匠設計担当者らに伝えたことは証拠上明らかな事実であり、本来、設計担当者間の伝達はそこでまかなわれるはずのもの

お互いに資格をもったプロとして仕事をしている⇒図面等の成果物の上で設計内容が明確であれば、他の者がこれを適切に引き継ぐことを期待するのは当然(被告人の作成した構造図や構造計算書は、これを建築士が通常の注意義務を払ってみれば、床スラブにより接合するものと認識することが可能であると認定されている)。
経費削減と工期短縮を目的として、構造を変更するために被告人に依頼があった⇒当然構造変更があることは予測できた

原審が認定するような配慮義務は、被告人にはなく、設計を総括していた意匠設計担当者らにおいて、構造変更を予測して、その変更内容を確認すべき義務があった。

被告人の過失を肯定した原判決の認定・説示を論理則、経験則等に適わない、あるいは反するものとして、原判決を破棄
判例時報2427

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