« 元県副知事による県職員採用試験における合格口利きの疑惑と、それについての名誉毀損が問題とされた事案 | トップページ | 間接事実を総合して被告人を犯人と認定し、死刑判決の事案 »

2020年2月 3日 (月)

モデルチェンジと3年の保護期間(不正競争防止法19条1項5号イ)の起算点

知財高裁H31.1.24      
 
<事案>
X(控訴人・一審原告)が、Y(被控訴人・一審被告)の販売するサックス用ストラップが、Xの販売するサックス用ストラップの形態模倣に該当⇒Yに対し、不正競争法3条に基づき、被告商品の販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに、同法4条、5条2項に基づき、880万円の損害賠償を求めた。 
 
<原審>
原告商品の形態のうち不正競争法2条1項3号の保護を受けるのは、モデルチェンジ前の商品の形態を実質的に変更した部分に基礎を置く部分に限られる。
前記部分と被告商品のうち前記部分に対応する部分とは、実質的に同一であるとはいえず、被告商品が原告商品に依拠したということもできない。

Xの請求をいずれも棄却。 
 
<解説・判断>
●不正競争法2条1項3号:
個別の知的財産権の有無にかかわらず、他人が商品化のために資金・労力を投下した成果を他に選択肢があるにもかかわらずことさら完全に模倣して、何らの改変を加えることなく自らの商品として市場に提供し、その他人と競争する行為を「不正競争」と位置づける。

①先行者が資金・労力を投下して商品化した成果にフリーライドすることが競争上不正と観念される。
②模倣を禁止するのは先行者の投資回収の期間に限定することが適切。

日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品については、不正競争法2条1項3号の保護は及ばない(同法19条1項5号イ)。 
 
●本件:
被告商品の販売開始日:
原告商品が最初に販売された日から3年以内であったが、
原告商品のモデルチェンジ前の商品である旧原告商品が最初に販売された日から3年以上が経過。
⇒原告商品の販売日と旧原告商品の販売日のいずれが保護期間の基準時となるか? 

本判決:
原告商品と旧原告商品を対比すると、需要者が注意を引きやすい特徴的部分であるV型プレートの形態が相違
⇒原告商品から受け取る商品全体としての印象と旧原告商品から受ける商品全体としての印象は異なる
⇒原告商品の形態は、商品全体の形態としても、旧原告商品の形態とは実質的に同一のものではなく、別個の形態
原告商品の販売日が保護期間の基準時
 
不正競争法2条1項3号によって保護される商品形態は、いかなる範囲か? 
原判決:商品の形態において実質的に変更された部分に基礎を置く部分に限られる。
本判決:不正競争防止法2条1項3号によって保護される「商品の形態」とは、商品全体の形態をいう。
原告商品の形態と被告商品の形態とを対比すると、商品全体としての印象が共通し、その形態は実質的に同一。
 
モデルチェンジの前後で実質的に同一とはいえない
保護期間の起算点は、モデルチェンジ後の商品の販売時となるし、
保護される範囲は、商品全体 

不正競争法2条1項3号については、商品の一部のみ保護対象となることはないとの解釈が一般的。

判例時報2425

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 元県副知事による県職員採用試験における合格口利きの疑惑と、それについての名誉毀損が問題とされた事案 | トップページ | 間接事実を総合して被告人を犯人と認定し、死刑判決の事案 »

知的財産権」カテゴリの記事

判例」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 元県副知事による県職員採用試験における合格口利きの疑惑と、それについての名誉毀損が問題とされた事案 | トップページ | 間接事実を総合して被告人を犯人と認定し、死刑判決の事案 »