間接事実を総合して被告人を犯人と認定し、死刑判決の事案
東京高裁H30.7.30
<事案>
干物店の元従業員であった被告人が、その干物店内において、経営者Aと従業員Bを殺害し、現金約32万円を強取したという強盗殺人の事案。
事件当日に再就職依頼のために干物店を訪れたことは認めた。
自白なし。
<事案>
干物店の元従業員であった被告人が、その干物店内において、経営者Aと従業員Bを殺害し、現金約32万円を強取したという強盗殺人の事案。
事件当日に再就職依頼のために干物店を訪れたことは認めた。
自白なし。
検察官が主張した情況証拠:
事件直後に被告人が所持していた金員の禁酒と金額が被害者の金種と金額に類似
防犯カメラとタクシーのドライブレコーダーによって認められる被告人所有車両の現場の駐車時間が犯行時間帯と合致
<原審>
有罪認定で
死刑判決
<判断・解説>
●犯人性等についての弁護人の主張を排斥
量刑不当の主張も排斥
「その認定・判断の中核的な部分には、論理則、経験則等に照らして概ね不合理な点はなく、当裁判所としてのその結論は是認できる」
●殺害犯人と被告人との同一性
駐車していた車両について、控訴審で供述を変更。
(原審において被告人は弁護人にはその旨の説明をしていたが防御方針として敢えてその主張はしなかった)
●量刑不当
「本件のような死刑選択の当否が問題となる重大事案においては、極刑からだけは逃れたいとの強い欲求から虚偽の弁解をすることは被告人の心情としてはある程度やむを得ないところであって、非難を強める事由としてこの点を重視するのは相当ではないが、結果として反省の情が認められず、犯行後の事情に何ら有利に斟酌すべき点がないという限度では、当然考慮すべき事情となるといえる」
判例時報2425
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