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2020年2月23日 (日)

国家公務員の(発注停止を示唆した)圧力について国賠請求が認められた事案

東京高裁H31.4.10    
 
<事案>
Xは、公益法人問題を追及する国会議員の勉強用に、同議員にXの経営する会社の資料等を渡した⇒このことに不満をもった国土交通省の本省の担当者は、公益法人などを介して、A社の発注停止を示唆して、暗に、Xが自発的に自粛とけじめをつけることを求めた⇒Xは代表取締役社長を辞任し、平取締役(会長)になった。 
Xが中心メンバーとなっている海保保存活動を行う団体が、国の所管行政庁である国土交通省の出先機関の関東地方整備局に保存要望書を提出⇒このことに不満を持った関東地方整備局の担当者は、公益法人などを介して、A社への発注停止を示唆して、暗に、Xが自発的に自粛とけじめをつけることを求めた⇒Xは、取締役会長を辞任し、持ち株も全部譲渡して、会社から一切手を引くこととなった。

請願を理由とする差別待遇であるとして、国賠法1条により損害賠償を求めた
 
<規定>
憲法 第16条〔請願権〕
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない
 
<判断>
前記の公務員の行為は、民間企業の自主的な経営に対する法令上の根拠に基づかない介入であって、請願を理由とする差別待遇として国賠法上違法であると判断し、消滅時効の成立も否定し、相当因果関係の認められる損害額の限度で請求を一部認容。
 
<解説>
国の業務の発注先企業やその取締役等が担当省庁の所管の政策に反対する内容の請願行為をしたことを理由に、発注停止をちらつかせて、当該企業や取締役等に対する差別待遇をすることは、憲法16条で禁止される行為であると同時に、国賠法上も違法の評価を免れない。
明示的にXの辞任を求めず、暗にXの自発的な行為(自発的な辞任)を求めた点も、発注停止をちらつかせているもので、違法性を阻却しないと判断。

● 公益法人問題の請願に関する差別待遇は、X個人(代表取締役の地位は失ったが、取締役の地位は失っていない)に対する攻撃というよりは、企業体(A社)に対する不当介入⇒違法性は肯定されたが、これと相当因果関係のあるXの損害賠償請求権は否定。
海堡保存問題の請願に関する差別待遇は、企業体(A社)に対する不当介入であるとともに、X個人(取締役の地位も失った。)に対する攻撃でもあり、違法性も、これと相当因果関係のあるXの損害賠償請求権(取締役報酬1年分)も肯定

● 本判決:消滅時効の起算点(加害者を知った時期(民法724条))はインタビュー終了時(平成27年)であると判断。

平成21年や平成22年の時点においては、訴状に「国土交通省の本庁又は地方支分部局の公務員のうち誰かが発注停止をほのめかしてけじめをつけることを求めた」という程度の記載しかすることができなかったこの程度の状態では加害公務員を知ったとはいえないと判断したのだろう。

判例時報2428

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