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2020年1月11日 (土)

交通規制中に交通事故で死亡した警備員を雇用していた警備会社による営業損害の賠償請求

京都地裁H31.3.26    
 
<請求>
本件事故現場での警備業務の提供等が不可能になり、得られるはずの利益を失ったと主張⇒
大型貨物自動車の運転手(被告運転手)に対しては不法行為責任に基づき、
同運転手を雇用している会社に対しては使用者責任に基づき、
営業損害の賠償を求めた。 
 
<判断>
● 本件は、企業が請負業務の履行中に、雇用していた従業員と保有していた車両に対して、それらを進路前方に認識しながら制動措置を講じられなかった自動車が衝突してきたという事案⇒被告らが主張する企業損害と事例とは事案と異にする。 
● 従業員と保有車両を侵害されることで請負契約の履行自体に関しても侵害を受けた企業が、加害者に対して、当該請負業務の停止に伴う事業損害を請求⇒当該請負業務の停止に伴う原告の2か月間の営業損害については、被告らには損害賠償義務がある。

被告運転者は、高速道路の規制がされていることを認識し、その作業車両に対し、大型のトラックをもって時速約90ないし100キロメートルの高速で衝突
原告の作業車両に乗るなどしてた作業員5名が死傷し、原告の作業車両が損傷するとの結果は十分に予測可能であり、その結果、本件事故現場での工事ないし高速道路警備業務が2か月内にわたって中断されることは予見可能であった。

中断期間における高速道路警備業者の利益喪失は、本件事故と相当因果関係のある損害であり、その額は500万円。
2か月を超える期間の本件事故現場での利益喪失や、本件事故との間で相当因果関係は認められない
 
<解説>  
従業員が交通事故で業務に従事できなくなり、企業に事実上の損害が生じたとしても、そのような損害は交通事故の加害者にとって一般に予見可能ではなく、間接損害としての企業損害は認められない(最高裁昭和54.12.13)。 

例外的に、間接被害者であっても損害賠償請求が認められる事例として、
会社がいわゆる個人会社であり代表者に会社の機関としての代替性がなく両者が経済的に一体をなす関係がある場合において、交通事故により会社代表者を負傷させた加害者が会社に対し損害を賠償する責任がある(最高裁昭和43.11.15)。

現在の交通事故損害賠償実務においては、個人営業の会社とはいえない一定の規模以上の会社において、積極損害、消極損害を問わず、原則として企業の間接損害が認められることはないと捉えられている。
 
● 他方で、営業中の企業の店舗に車両が衝突し、店舗が営業休止に追い込まれた場合の休止期間の営業補償などは、営業休止に相当因果関係があるのであれば、これは損害賠償の対象になる。 

判例時報2423

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