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2019年12月 2日 (月)

ERCPの施術⇒空腸穿孔による汎発性腹膜炎を発症し死亡⇒大腸内視鏡等の選択及び手技等についての過失が問題とされた事案(過失否定)

東京地裁H30.10.11    
 
<争点>
本件病院の意志には、
①事前の検査結果等からAに総胆管結石がないことは明らかであったにもかかわらず、ERCPを実施した注意義務違反があるか
②上部消化管への使用が禁忌である大腸内視鏡を用いてERCPを実施した注意義務違反があるか
③ERCP実施時の大腸内視鏡の乱暴な操作により、空腸穿孔の原因となる損傷を生じさせた注意義務違反があるか
④ERCP実施時に空腸の裂傷等を確認することなく、これを見落とした注意義務違反があるか
⑤遅くとも6月19日午前中にはAの腹膜炎を認識し、手術適応であることを把握できたにもかかわらず、同月20日まで開腹手術を実施しなかった注意義務違反があるか
⑥ERCPのリスク等について十分な説明をしなかった注意義務違反があるか
 
<判断>
①~⑥の注意義務違反を全て否定。 

③の手技上の注意義務違反:
後方視的にみると、本件ERCPにおいて使用された本件大腸内視鏡により、Aの空腸に何らかの損傷が生じ、それが原因となって空腸穿孔が発生したと認められる
but
かかる空腸穿孔が本件病院の医師の手技上の注意義務違反によって生じたものと的確に認めるに足りる証拠がない
⇒注意義務違反を否定。

④の注意義務違反:
①本件ERCP施術中に、ファーター乳頭付近の十二指腸壁に裂傷を確認したものの、それ以外に腸管を損傷するような施術は確認されていない
②空腸その他のERCP施行にあたって難所といえる箇所についても裂傷又は穿孔の有無縫いついて、確認する義務があったとまではいえない
⇒注意義務を否定
 
<解説>
Xはおよそ考えられる主張を全てしている感があるが、本件病院の医師は、ERCP施術の際空腸穿孔を引き起こし、その結果Aは汎発性腹膜炎を発症

③の手技上の過失の存否、
④の空腸穿孔を確認することなくこれを見落としたか否か
が真の争点。 

判例時報2419

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