« ERCPの施術⇒空腸穿孔による汎発性腹膜炎を発症し死亡⇒大腸内視鏡等の選択及び手技等についての過失が問題とされた事案(過失否定) | トップページ | 樹木の伐採作業に従事中の事故⇒雇用関係肯定⇒安全配慮義務違反(肯定) »

2019年12月 2日 (月)

短期入所生活介護サービス利用者の転倒事故の事案

さいたま地裁H30.6.27     
 
<事案>
要介護状態にあったAの、Yの設置する短期入所生活介護サービス利用中の転倒⇒右大腿骨頸部骨折⇒約半年後に誤嚥性肺炎により死亡
 
<争点>
①Yの安全配慮義務違反の有無
②本件事故とAの死亡との相当因果関係の有無
③本件事故によるAの後遺障害の有無及び程度
④損害額
 
<判断> 
●争点① 
①Yは、Aとの間で締結した本件利用契約に基づき、介護事業者として、具体的に予見し得る危険についてAの生命・身体等を保護するべく配慮する義務を負っていた
Aが右上肢の機能全廃及び右下肢の著しい障害を有していたこと、本件利用契約を締結する際、Yは、XからAが自宅で転倒していることを知らされ、Aが転倒しないよう配慮する旨を表明していた
XからYの職員に対し、従前よりも転倒の危険が増しており注意して欲しい旨の具体的な注意喚起があったこと等

本件事故当時、Yは、本件施設内でのAの転倒に注意し、転倒の防止に配慮する義務を負っており、本件事故現場である洗面所の構造やAが口腔ケアをする際の姿勢や動作等を踏まえると、Aの口腔ケアに付き添うか洗面所内に椅子を設置するなど、転倒を防止するための措置を講じる義務を負っていた

Aの安全配慮義務違反を肯定。 
 
●争点② 
Aの直接死因である誤嚥性肺炎の発症に全身状態の悪化が影響したことは否定し難い
but
Aの全身状態の悪化は主に認知機能の急激な低下によるものであり、Aの認知機能が急激に低下した機序は明らかではない。

本件事故とAの死亡との相当因果関係を認めることは困難
 

争点③について、
Aに本件事故前に有していた障害以上の障害が後遺したとは認めるに足りない。 

争点④について、
転倒して右大腿骨頸部骨折を負い手術やリハビリを要する事態に陥ったことに関し、治療費等のほかに慰謝料250万円を認める判断。
 
<解説>
転倒事故と死亡等との相当因果関係の判断に関しては、
本件事故後、死亡までの間に相当期間が経過し、しかも、手術とリハビリにより一旦はAの身体機能に相応の回復がみられたにもかかわらず、その後急激に全身状態が悪化したという経過が特徴的。 

判例時報2419

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« ERCPの施術⇒空腸穿孔による汎発性腹膜炎を発症し死亡⇒大腸内視鏡等の選択及び手技等についての過失が問題とされた事案(過失否定) | トップページ | 樹木の伐採作業に従事中の事故⇒雇用関係肯定⇒安全配慮義務違反(肯定) »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ERCPの施術⇒空腸穿孔による汎発性腹膜炎を発症し死亡⇒大腸内視鏡等の選択及び手技等についての過失が問題とされた事案(過失否定) | トップページ | 樹木の伐採作業に従事中の事故⇒雇用関係肯定⇒安全配慮義務違反(肯定) »