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2019年12月 4日 (水)

労災事案で時間外労働時間数が争われた事案

福岡地裁H30.11.30    
 
<事案>
脳梗塞を発症し、右下肢麻痺等の後遺障害が残存
労災認定がされている
 
<主張>
Xは、Y1及びその代表取締役であるY2に対し、本件疾病の発症はY1における過重な業務に起因⇒
Y1に対しては安全配慮義務違反(民法415条)に
Y2に対しては善管注意義務違反(会社法429条1項)に
それぞれ基づき、
損害賠償を請求。 
 
<争点>
①本件疾病発症の業務起因性(Xの業務の量的及び質的過重性の有無)
②Y2の安全配慮義務及びその違反の有無
③Y2の善管注意義務違反及び悪意・重過失の有無
④Xの損害の有無及び額
⑤過失相殺又は素因減額の可否及び程度 
 
<判断> 

①Xの本件疾病発症前6か月間の月平均の時間外労働時間数は174時間50分と認定。
②Xが、自己及び店舗の営業目標を達成するために相応の精神的緊張を伴う業務に従事していたといえる。
③一定期間、寒冷な環境で継続的に業務を行なうことを強いられたことも考慮。

本件疾病発症の業務起因性を肯定

Y:Xが主張の裏付けとして提出したXの元同僚の業務日誌(労災認定における労働時間算定の根拠とされたもの)は事後的に作成されたもので信用性がないと主張
vs.
その当時の業務日誌と使用状況やその記載内容等から前記業務日誌の信用性を肯定
⇒Xの業務内容を認定。

Xの生活習慣及び基礎疾患
vs.
本件疾病の発症に一定程度寄与したといえるものの、
そららの状況に鑑みると、本件疾病は、Xの基礎疾患が、前記のとおりの過重な業務に伴う負荷によりその自然経過を超えて悪化して発症したものとみるのが相当。

前記基礎疾患等は本件疾病発症の業務起因性を否定する事情とはいえない
 

Y1がXを前記のような過重な業務に従事させたことについて、
Y1の安全配慮義務違反及び
Y2の悪意又は重過失による善管注意義務違反
をいずれも肯定。 
 

Xの損害について:
Xの基礎収入には1か月当たり4、5時間分の割増賃金を含めるのが相当。
休業損害、逸失利益等の損害額を認定
Xの基礎疾患の存在を考慮して2割の素因減額
判例時報2419

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