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2019年11月 2日 (土)

離婚訴訟被告からの、原告の不貞行為の相手方に対する損害賠償請求訴訟と家裁の管轄

最高裁H31.2.12     
 
<事案>
配偶者から離婚訴訟を提起された被告Yが、同訴訟において、配偶者Aは第三者Xと不貞行為をした有責配偶者であると主張して、その離婚訴訟の棄却を求める一方で、前記不貞行為を理由とするXに対する損害賠償請求訴訟を横浜地裁に提起

Xが、人訴法8条1項に基づき、前記損害賠償請求訴訟を離婚訴訟の係属する横浜家庭裁判所へ移送するよう申し立てた。 
 
<規定>
人訴法 第八条(関連請求に係る訴訟の移送)
家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第一審裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより、当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができる。この場合においては、その移送を受けた家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2前項の規定により移送を受けた家庭裁判所は、同項の人事訴訟に係る事件及びその移送に係る損害の賠償に関する請求に係る事件について口頭弁論の併合を命じなければならない。
 
<原々審>
前記損害賠償請求訴訟を横浜家庭裁判所に移送するとの決定。 
 
<判断>
離婚訴訟の被告が、原告は第三者と不貞行為をした有責配偶者であると主張して、その離婚請求の棄却を求めている場合において、前記被告が前記第三者を相手方として提起した前記不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟は、人訴法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟」に当たる
 
<解説> 
●損害賠償請求訴訟については、地裁又は簡裁に管轄がある。(裁判所法24条1項、33条1項1号)。
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人訴法は「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求」(「関連損害賠償請求」)について家裁に管轄を認める

人訴法17条1項は、人訴の請求と関連損害賠償請求は1の訴えですることができる旨を規定
②同条2項は、関連損害賠償請求の訴えは人事訴訟が係属している家裁に対して提起することができる旨を定め、
③人訴法8条1項は、人事訴訟が係属している場合において、関連損害賠償請求の訴えが第一審裁判所に提起されたときは、その第一審裁判所は関連損害賠償請求訴訟を前記人事訴訟が係属する家庭裁判所に移送することができる旨を規定。

関連損害賠償請求が人事訴訟の請求原因事実を基礎とするものであり、
両者の審理判断において主張立証の観点から緊密な牽連関係があり、
③関連損害賠償請求を人事訴訟の請求を併合し、又は反訴の提起をすることを許すことについては、当事者の立証の便宜及び訴訟経済に合致し、
④しかも人事訴訟の審理に別段の錯そう遅延を生ずるおそれはない

関連損害賠償請求を人事訴訟に併合して審理できるようにした

● 関連損害賠償請求も人事訴訟の当事者の一方から他方に対する請求に限られず、第三者に対する請求であってもよい。(最高裁昭和33.1.23)
国際裁判管轄の場面では、関連損害賠償請求は人事訴訟における当事者の一方から他方に対する請求に限定されている(人訴法3錠の3)。
 
● 離婚訴訟の被告が、原告は第三者と不貞行為をした有責配偶者であると主張して、その離婚請求の棄却を求めている場合において、前記第三者を相手方とする損害賠償請求訴訟を離婚訴訟の係属する家庭裁判所に提起することができるか?

東京家庭裁判所においてはそのような訴訟については、受理して地方裁判所への移送をしないとの取扱い。

本件決定の考え方に沿う。

判例時報2416

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