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2019年11月 3日 (日)

タクシー会社の統括運転管理者に対する危険性帯有者(道交法103条1項8号)であることを理由とする運転免許停止処分が違法とされ、国賠請求が認められた事例

神戸地裁H30.11.30    
 
<事案>
タクシー会社の運転手数人が速度超過運転を繰り返していた⇒Y(兵庫)県県警本部長がタクシー会社の統括運行管理者であるXに対し、
道交法103条1項8号、同法施行令38条5項2号ハに該当する事実(危険性帯有者 下命・容認(速度超過))があるとして30日間の運転免許停止処分
⇒XがY県に対し、国賠法1条1項に基づき110万円の損害賠償を求めた。 
 
<規定>
道交法 第一〇三条(免許の取消し、停止等)
免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。ただし、第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは、当該処分は、その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、することができない。
八 前各号に掲げるもののほか、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき
 
<解説>
Y県公安委員会は、免許の効力の停止に関する事務をY県警本部長に委任。
警察庁交通局長は、平成26年5月23日付け通達で、各都道府県警察の長に対し、道交法に関する行手法に基づく審査基準、標準処理期間及び処分基準のモデルの改定を通知。 
前記通達においては、危険性帯有者に関する具体的な判断基準として、
「自動車の使用者(・・・・その他自動車の運行を直接管理する地位にある者を含む。)」が、その者の業務に関し、自動車の運転者に対し、違反行為・・・を命じ、又は自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認し」、その者が「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」は、危険性帯有者に当たるとして、免許の効力を所定の期間・・・停止する旨が処分基準のモデル(「本件モデル」)とされている。
Y県警本部長は、道交法施行令38条5項2号ハによる免許の効力を停止する場合の処分基準として、本件モデルと同様の処分基準(「本件処分基準」)を設定し公表。
 
<争点>
本件運転免許停止処分が国賠法1条1項に反し、違法か。 
 
<判断> 

X:本件処分基準の設定自体が違法であると主張。
vs.
Y県警本部長が本件モデルに準じて本件処分基準を設けたことは、十分に合理的で相当である⇒Xの主張に理由なし。 


X:Xを危険性帯有者と認定した点は誤りであると主張。
危険性帯有者の判断基準として、
Xにおいて、
本件速度超過運転を容認していること、
自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせると評価すべき事情の存在
が必要。 

統括運行管理者であったXは、本件事業所の運転者が速度超過等の違法行為をたびたび犯していたことを認識し、これを放置すれば同様の違反行為が繰り返される蓋然性があると容易に予見することができた
⇒①の要件は満たしている。

Xは、約5kmの通勤及び統括運行管理者ついて側乗等をする場合はあるが、自らタクシー乗務員として自動車を運転することはない⇒Xが前記容認行為をしたことをもって、直ちにX自身がタクシー乗務員として運転することについての心理的適性が欠けていると評価することは困難⇒②の要件は具備していない。

Xに対する本件免許運転停止処分は違法⇒22万円の損害賠償を認めた

判例時報2416

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