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2019年11月 6日 (水)

フラダンスの著作権性

大阪地裁H30.9.20    
 
<事案>
X(ハワイ在住のクムフラ(ハワイ在住のフラダンスの指導者)・Y間の契約関係解消

Yに対し、
①フラダンスの振りつけ(本件各振付け)につき著作権侵害に基づく上演の差止め
②フラダンスと同時に演奏される楽曲(本件各楽曲)につき著作権侵害に基づく演奏の差止め
③①②について著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償を請求
④平成26年秋に予定されていたワークショップ等においてXがYないしKHAの会員に対してフラダンス等の指導を行うことを内容とする準委任契約(本件準委任契約)がYにより解除されたことに伴う民法656条、651条2項本文に基づく損害賠償を請求 
 
<判断> 
●ハンドモーションについて 
フラダンスの上演時に演奏さえる楽曲中の歌詞の解釈を示すもの

①当該歌詞から想定されるハンドモーション
②当該歌詞と同内容の歌詞について他に例があるハンドモーション
③前記①②に当たらないハンドモーションであっても、それらのものとの差異がわずか
~いずれも作者の個性の表れは認められない。 
個々のハンドモーションが前記①②③に当たる場合、
仮に踊り全体をみたときに個々のハンドモーションにおける振付けの選択が累積され、その組合せが他に類例のみられないものになっていたとしても、
それら個々のハンドモーションが限られた類例から選択されたにすぎない場合には、踊り全体としても作者の個性の表れは認められない。
あるハンドモーションにつき、その歌詞の解釈に独自性があったとしても、表現結果である振付けが前記①②③に当たるような場合には作者の個性の表れが認められない。
but
歌詞の解釈が独自のものであって、それによって振付けの動作が他と異なるものとなる場合には、作者の個性の表れが認められる


①ステップについては、典型的なものの組合せによって構成される
②歌詞を表現するものでもない

これに作者の個性が認められるためには既存のものと顕著に異なる新規なものであることが求められる。 


仮に特定の歌詞部分における短い振付け動作に作者の個性が表れているとしても、それは舞踏の一部分にすぎない
⇒当該部分に著作物性を認めることはできず、作者の個性が表れている部分とそうでない部分が相まったひとまとまりの動作の表れという単位で著作物性が判断されるべき。 
侵害の成否の判断に際しても、一連の動作たる舞踏としての特徴が感得されることを要する


各振付けに含まれる歌詞の一節ごとに当該歌詞に対応するハンドモーションを摘示し、主としてこれと同様のハンドモーションが他に存在するか、存在するとしてもこれとどのような差異があるかという観点から振付けの当該部分にXの個性が表れているか否かを検討した上で、改めて各振付けにつき全体として著作物性の判断を行い、結論として本件振付け6等のすべてについて著作権性を肯定
 

<解説>
舞踏の著作物の振付けにつき著作物性が実質的な争点となった事例として、
東京地裁h24.2.28のShall we ダンス?事件。

社交ダンスの振付けの著作物性を判断するに当たって「顕著な特徴を有する独創性」という高い基準が設定された。
but
本件では、「個性の表れ」という一般的な基準によって、著作物性の判断がなされている。 
 
<判断>
Yによる本件準委任契約の解除が「不利な時期」(民法651条2項)になされたことを認めたうえで、
本件準委任契約に基づきワークショップを開催することによってKHAからの脱会者がさらに増える見込みであった⇒「やむを得ない事由」(同項ただし書)があったことを認めている。

判例時報2416

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