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2019年11月21日 (木)

製造物責任による請求で室外機の欠陥による発火を認めた事案

東京地裁H30.9.19      
 
<事案>
Xらが、本件他店ののの2階ベランダに設置していた本件室外機の欠陥によりXが損害を被った⇒Y社に対し、製造物責任法3条による損害賠償請求権に基づき、家屋の立替費用、治療費、慰謝料及び家具類の買替費用などの損害並びに遅延損害金の支払を求めた。 
 
<争点>
(1)本件火災が本件室外機の欠陥によるものであったと認められるか
(2)損害額 
 
<判断>
●争点(1)について 
2回の各居室等の燃焼、焼失等の状況
リビングダイニング、2階子供部屋(長男)及び2階ベランダのうちのいずれかが出火場所である蓋然性が高い
but
それぞれの燃焼状況や発火源となり得るものの有無を検討
リビングダイニング及び2階子供部屋(長男)が出火場所であることを否定

2階ベランダ(特に本件室外機周辺)が出火場所である蓋然性が最も高く、
目撃者の供述内容

本件火災については、2階ベランダの本件室外機周辺が出火場所であるものと高度の蓋然性をもって認められる

2階ベランダ内における発火源につき、本件室外機内部における発火源として冷却用プロペラファン電動機であることを否定できず、
他方、本件室外機と本件エアコンを接続する内外連絡線(Y社の製品ではない。)、放火及びたばこ等による失火の可能性を検討しつつも否定

本件火災の発火源が本件室外機であると認定。

①本件室外機が2階ベランダに設置されてから本件火災が発生するまでの期間が1年10カ月程度にすぎない
②本件における全ての証拠を検討しても、Xら側において本件室外機を通常と異なる方法により使用したような事情は認め難い

本件火災は、本件室外機の欠陥により生じたものと推認することができる

●争点(2)について、
家屋の建替費用や治療費、慰謝料及び休業損害といった損害を認定するとともに、
家具類の一部につき、民訴法248条に従って相当な損害額を算定。 
 
<規定>
製造物責任法 第三条(製造物責任)
製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

製造物責任法 第二条(定義)
2この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。
 
<解説>
●製造物責任法は、製造物責任につき欠陥を要件とする無過失責任とし、「欠陥及び因果関係についての主張・立証責任は、被害者が負担する」(潮見) 
but
これらの要件に関する具体的な主張立証の対象については、製造物責任法が制定されるより前の裁判例(大阪地裁H6.3.29)において
「製品の性状が、社会通念上製品に要求される合理的安全性を欠き、不相当に危険と評価されれば、その製品には欠陥がある」とするものがあり、
製造物責任法の下においては、製造物責任を追及する側において、製品のうち欠陥のあった部位・部品、欠陥の態様から事故の態様、損害の発生に至るメカニズムを特定して主張立証する必要まではないと解されている。

本判決:
①本件火災の発火源が本件室外機であること、
②本件室外機が設置されてから本件火災が発生するまでの期間が1年10カ月程度にすぎないことや、Xら側において本件室外機を通常と異なる方法により使用したような事情は認め難いこと

本件火災は、本件室外機の欠陥により生じたものと推認することができる

●本件火災によって家具類に係る損害が発生したものと認定した上で、
本来は、購入時の代金額から経年を考慮して減額した残存価格又は同等の代替物の購入費用等をもって損害額とするのが相当であるが、
本件においては立証が極めて困難。
⇒民訴法248条。 

判例時報2418

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