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2019年11月10日 (日)

申請型義務付け訴訟の違法判断の基準時について

東京高裁H30.5.24     
 
<背景>
平成12年改正道路運送法は、タクシー事業を免許制から許可制に変更し、いわゆる需給調整規制を廃止
but
その後タクシーの供給過剰が社会問題化
⇒供給過剰の状況にある特定の地域における供給過剰状況の解消に向けた取組みを法制化した特定地域における一般常用旅客自動車運送事業の適正化及び得活性化に関する特別措置法が制定
⇒指定された特定地域における個人タクシー営業の新規許可については、同法を根拠に地方運送局長が定めた収支計画要件に基づき許可の審査。
平成21年特措法は平成25年に改正・・・・⇒地方運輸局長は、当該地域に係る供給輸送力と輸送需要量が不均衡とならないものであることが必要であるとの許可基準。 
 
<事案>
被控訴人が、平成21年特措法の下で特定地域と指定された営業区域において個人タクシー事業の営業許可申請(本件申請)をしたところ、処分行政庁から、本件申請が道路運送法6条2号(事業計画の適切性)に適合しないとして却下

本件却下処分の取消しを求めるとともに、
本件申請に係る個人タクシー事業許可の義務付けを求めた
 
<原審>
収支計画要件は道路運送法6条に違反し違法であり、また、本件申請に事業計画上の問題があって安易な供給拡大にすぎないとも認められない
本件却下処分は違法であるとして、これを取り消した上で、
義務付けの訴えにも理由がある⇒処分行政庁に本件申請に係る事業許可を命じた
 
<判断>
●取消訴訟については、原審と同旨。 

義務付けの訴えについて
義務付けの訴えに関する行訴法37条の3第5項の本案要件(一義的明白性)の存否:
当事者間の信義・衡平に照らし、原判決同様、本件却下処分後に改正された法令(平成25年特措法)ではなく、本件却下処分時の法令(平成21年特措法)に基づき判断すべき
but
本件申請に関して被控訴人が提出した事業計画が道路運送法6条の許可基準に適合するかどうかを当裁判所が判断する上で必要かつ十分な資料は調っておらず、義務付けの訴えは本案要件を満たさない
⇒これを認容した原判決を取り消して被控訴人の請求を棄却。
 
<解説>
申請型義務付け訴訟の違法判断の基準時 
A:本案要件の存否の判断の基準時は、口頭弁論終結時

本案要件は判決の要件⇒遅くとも事実審の口頭弁論終結の時点において本案要件を満たしている必要がある
②義務付けの訴えは、新たな処分を義務付けるもの⇒本案要件の存否の判断の基準時は、口頭弁論終結時
vs.
本件のような申請型義務付けの訴えと拒否処分の取消訴訟が併合提起されている場合には、取消訴訟では処分時を基準とすることとの関係で判断基準時に違いが生じることとなり、
処分時には本案要件が認められるのに口頭弁論終結時にはこれを欠くに至ることも考えられる

B:取消訴訟の場合と同様に処分時を基準に判断すべき

本判決:
判断の基準時は原則として口頭弁論終結時
but
併合審理された取消訴訟において処分取消しの理由となった収支計画要件が、処分後の法令改正により条文に取り込まれ、口頭弁論終結時の法令を手経すると取消訴訟と結論を異にする可能性が高い
信義・衡平に照らし処分時の法令を前提に本案要件の存否を判断すべきである。
but
処分時の法律である平成21年特措法を前提としても、事案に照らして本案要件を満たすとはいえない
⇒原審と異なり義務付けの訴えに係る被控訴人の請求を棄却

判例時報2417

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