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2019年10月 3日 (木)

携帯電話のレンタル業者に詐欺行為の幇助を認め損害賠償請求を認めた事案

仙台高裁H30.11.22      
 
<事案>
Xは、Y(携帯電話のレンタル業者)らに対し詐欺の実行行為者Bとの共謀ないし故意・過失による幇助の不法行為に基づき損害賠償(詐欺による被害金、慰謝料、弁護士費用)を求めて提訴。 
 
<原審>
携帯電話の貸与業者が一般的に犯罪行為への加担を認識認容しているとは認められず、その貸与行為から直ちに携帯電話が犯罪に使用されることにつき認識認容があったとはいえない⇒Yらの故意を認めない。
Y2は対面により本人確認を行い、運転免許証の提示を求めており過失も認められない。

請求棄却。 
 
<判断>
原判決を変更し、Xの請求を一部認容(被害金、弁護士費用を認め、慰謝料は認めず)

①Y2(代表取締役)は、転送電話サービス付きの携帯電話が、電話を利用した詐欺等の犯罪に悪用される事例が多くあり、犯罪防止の観点から、法規制により貸与時本人確認等の悪用防止策が講じられていることを十分に認識しながら、Y1社を設立して携帯電話のレンタル業を始めた
②Y2は、Y1社がレンタルした携帯電話が実際に犯罪に悪用されていることを警察からの指摘を受けて知りながら、契約の態様としては、Y1社の事務所ではなく、公園でBと会い、支払履歴などの物的証拠が残りにくい現金払い、かつ領収証は交付しないこととした上、具体的な使用目的も確認しないで、約4か月の間に合計10台もの電話転送サービス付き携帯電話を貸与

Y2は、Bに貸与した携帯電話が、Xが被害を受けた電話勧誘によるデート商法詐欺を含む詐欺等の犯罪行為に悪用される可能性が極めて高いことを具体的に認識しながら、そのような犯罪行為を助ける結果が生じてもやむを得ないものと少なくとも未必的に認識したうえで、Y1社からBに貸与したものと認めるのが相当であり、Yらには、Xが被害を受けた本件詐欺被害について、詐欺行為を助け、詐欺による被害が生ずることについて、包括的かつ未必的な故意があった
仮に、故意がなかったとしても、Yらには、前記詐欺被害が生ずることについて具体的な予見可能性があった⇒それにもかかわらず携帯電話を貸与したことには過失がある。
 
<解説>
犯罪行為に利用させる事務所や携帯電話を貸与することが幇助に当たるかという問題が争点となるケースについては、主観的要件の認定が難しい。
←携帯電話の貸与業者が一般的に犯罪行為に加担しているという経験則は認められない。
but
本判決は、事案の個別的事情を子細に検討し間接事実を積み重ねていくことにより、携帯電話の貸与につき貸与したレンタル業者の詐欺行為幇助の故意・過失を認定。 

違法な投資法品勧誘行為を行っていた事業者に事務所を使用させた行為は不法行為の幇助に当たるとした事例(東京高裁H29.12.20)。

違法行為をする者に便宜を供与する者については、その相互の関係と主観的要件いかんにより、
共同不法行為者、幇助者、法的責任とは無関係の者に分かれる。
その認定判断においては、関連事実をきめ細かく主張立証し、論証していくことが必要となる。

判例時報2412

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