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2019年10月 6日 (日)

共同での特許無効審判請求に係る無効審決⇒特許権者が、共同審判請求人の一部のみを被告として取消訴訟、共同審判請求人との関係で出訴期間経過⇒審決取消訴訟は訴えの利益を欠く不適法なものとして却下

知財高裁H30.12.18      
 
<事案>
Y及びAが共同でした無効審判請求に係る取消訴訟。
特許権者Xらは、共同審判請求人Y及びAのうちYのみを被告として本件訴訟を提起し、Aとの関係では、審決取消訴訟が提起されないまま出訴期間を経過。 
 
<規定>
特許法 第132条(共同審判)
同一の特許権について特許無効審判又は延長登録無効審判を請求する者が二人以上あるときは、これらの者は、共同して審判を請求することができる。
 
<判断>
● 訴えの利益を欠く不適法なものとして、却下。 
本件審決は、Aとの関係においては、出訴期間の経過により既に確定⇒本件特許の特許権は初めから存在しなかったものとみなされる⇒本件訴えは訴えの利益を欠く不適法なもの。
● 特許法132条1項は、本来、各請求人は単独で特許無効審判請求をし得るところ、同一の目的を達成するために共同での審判請求を行い得ることとし、審判手続及び判断の統一を図ったもの。
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この場合の審決を不服として提起される審決取消訴訟につき固有必要的共同訴訟とする規定も、審決の画一的確定を図るとする規定もない。

同一特許について複数人が同時期に特許無効審判請求をしようとする場合の特許無効審判手続の態様:
①共同審判請求
②別居独立に請求された審判手続が併合
③別個独立に請求された審判手続が併合されないまま進行
の3つが考えられる。
③の場合に無効審決がされたときは、その取消訴訟をもって必要的共同訴訟と解する余地がない

事実及び証拠と同一であるか異なるかに関わりなく、複数の特許無効審判請求につき、請求不成立審決と無効審決とがいずれも確定するという事態は、特許法上当然想定されている。
①の場合に、被請求人(特許権者)の共同審判請求人に対する対応が異なった結果として前記と同様の事態が生じることも、特許法上想定されないこととはいえない。


共同審判請求に対する審決につき合一的確定を図ることは、法文上の根拠がなく、その必要性も認められない
⇒その請求人の一部のみを被告として審決取消訴訟を提起した場合に、被告とされなかった請求人との関係で審決の確定が妨げられることもない。
共同審判請求に対する審決につき合一的確定を図ることは法文上の根拠がなく、その必然性も認められない
⇒当該審決に対する取消訴訟をもって固有必要的共同訴訟ということはできない。
 
<解説> 
同一の特許権については、2人以上の者が共同して特許無効審判を請求することができる。(特許法132条1項)
特許を無効にすべき旨の審決が確定⇒特許権は、初めから存在しなかったものとみなされる。(同法125条本文) 

共同で特許無効審判が請求され、無効審決がされたのに対し、被請求人(特許権者)が共同審判請求人の一部の者のみを被告として審決取消訴訟を提起し、他の請求人との関係ではこれを提起しないまま出訴期間を経過した場合の規律は? 

共同で特許無効審判請求に対し不成立審決がされた場合における請求人の一部の者のみが提起する審決取消訴訟の許否について

最高裁H12.2.18:
各請求人が個別に審決取消訴訟を提起し、又は提起しないことができる。

別個独立に請求された特許無効審判手続が併合され、不成立審決がされた場合、請求人の一部の者のみが提起した審決取消訴訟の適法について、
最高裁H12.1.27:
ある特許につき請求不成立審決が確定し、その旨の登録がされたときは、その登録後に新たに当該無効審判請求におけるのと同一の事実及び同一の証拠に基づく無効審判請求をすることが許されないとするものであり、
それを超えて、確定した請求不成立審決の登録により、その時点において既に係属している無効審判請求が不適法となるものと解すべきではない。

審決取消訴訟を提起しなかった請求人との関係では不成立審決が確定することを前提とする。

判例時報2412

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