県知事が産廃処理施設の設置許可処分取り消し⇒環境大臣が取消処分を取り消し⇒その裁決の取消請求
名古屋高裁H30.4.13
<事案>
株式会社Aは、岐阜県B市内において、産業廃棄物処理施設の設置を計画⇒廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、設置許可を申請⇒岐阜県知事は平成21年11月30日に設置許可⇒岐阜県知事は、平成22年7月30日に本件設置許可処分を取り消す旨の処分⇒Aが審査請求⇒環境大臣は、本件取消処分を取り消す旨の裁決⇒
周辺住民であるXら175名が、国に対して、本件裁決の取消しを求めた事案。
<原審>
本家施設の設置予定地から半径2キロメートル圏外に居住するXらについては、原告適格がない。
A代表者は、本件施設の設置予定地の町内会常会において、本件施設の設置を説明し、町内会の代表者らから承諾書を得ている⇒従前適正処理条例が定める周辺住民への周知義務を履行したといえる⇒適正配置要件が欠けているとはいえない。
Aは、岐阜県に対して、周辺住民への説明状況について虚偽の回答。
but
本件許可を受けられなかった者とはいえない⇒不正の手段で許可を受けたとはいえず、また、「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがある」ともいえない
⇒
本件裁決が違法であるとは認められない。
<判断>
原告適格については、原審判決と同様の判断。
廃棄物処理法は、産業廃棄物処理施設の設置許可申請者に対し、周辺住民に対して申請の内容を周知することを義務づけていると認めることはできない。
⇒
従前適正処理条例が定める周辺住民への周知義務を履行していないことは本件取消事由に該当しないし、適正配置要件を欠くことにもならない。
⇒
本件裁決が違法であるとは認められない。
控訴審で訴訟承継した控訴人らについて、
本件裁決の取消しを求める法律上の利益は、一身専属的なもので相続の対象とならない⇒控訴を却下。
<解説>
原告適格について、
判例に沿って、本件施設の規模や内容を考慮し、その設置により生活環境に影響が及ぶおそれのある地域の範囲を判断。
判例時報2409
大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))
| 固定リンク
「判例」カテゴリの記事
- 懲戒免職処分に先行する自宅待機の間の市職員の給料等請求権(肯定)(2023.05.29)
- 懲戒免職された地方公務員の退職手当不支給処分の取消請求(肯定)(2023.05.29)
- 警察の情報提供が国賠法1条1項に反し違法とされた事案(2023.05.28)
- 食道静脈瘤に対するEVLにおいて、鎮静剤であるミダゾラムの投与が問題となった事案 (過失あり)(2023.05.28)
- インプラント手術での過失(肯定事例)(2023.05.16)
「行政」カテゴリの記事
- 重婚的内縁関係にあった内妻からの遺族厚生年金等の請求(肯定事例)(2023.05.07)
- 船場センタービルの上を通っている阪神高速道路の占有料をめぐる争い(2023.04.26)
- 固定資産評価審査委員会の委員の職務上の注意義務違反を否定した原審の判断に違法があるとされた事例(2023.04.22)
- 生活扶助基準の引下げの改定が違法とされた事例(2023.03.27)
- 幼少期に発効された身体障碍者手帳が「・・・明らかにすることがでできる書類」に当たるとされた事例(2023.03.20)
コメント