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2019年2月19日 (火)

無線LANアクセスポイントへの接続に必要なWEP鍵は、電波法109条1項にいう「無線通信の秘密」に当たらないとされた事例

東京地裁H29.4.27      
 
<事案>
被告人は、フィッシングメールを利用して、企業が管理するインターネットバンキングのログインのパスワード等を不正に取得し、不正ログインやそれに引き続く不正送金を行ったという
不正アクセス法違反、電子計算機使用詐欺などの罪で起訴されたほか、
被告人方の向かいの家(V8)に設置された無線LANへのただ乗りが電波法違反の罪にあたるとして起訴。 
 
<争点>
無線LANアクセスポイントへの接続に必要な「WEP鍵」をハッキングツールを用いて割り出し、それを利用して同アクセスポイントに接続することが、電波法109条1項にいう「無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を・・・・窃用した」といえるか。 
 
<規定> 
電波法 第109条 
無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 
<判断>
電波法109条1項の「無線通信の秘密」とは、当該無線通信の存在及び内容が一般的に知られていないもので、一般に知られないことについて合理的な理由ないし必要性のあるものをいう。

WEP鍵は、あくまで暗号文を解いて平文を知るための情報であり、その利用は平文を知るための手段・方法に過ぎない
②WEP鍵を計算によって求めるためには、必ずしも無線LANルータと端末機器との間で送受信されるパケットを取得する必要はなく、ARPリプライ攻撃によってパケットを発生させることでも足りる⇒WEPカギは通信内容の如何にかかわらず取得することができる

WEP鍵は、無線通信の内容として送受信されるものではなく、「無線通信の秘密」にあたる余地はない。

判例時報2388

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