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2019年1月 7日 (月)

自動車の所有権留保で、債権者が売買代金残額を支払った保証会社の場合の別除権としての行使

最高裁H29.12.7      
 
<事案>
A自動車会社(「本件販売会社」)から自動車(「本件自動車」)を購入したBの売買代金債務を連帯保証した信販会社であるXが、保証債務の履行として本件販売会社に売買代金残額を支払い、本件販売会社に留保されていた本件自動車の所有権を法定代位により取得⇒前記支払後に破産手続開始の決定を受けた本件購入者の破産管財人であるYに対し、別除権の行使として本件自動車の引渡しを求めた。 
 
<原審>
前記破産手続開始の決定前に、本件販売会社が第三者に対向し得る本件留保所有権はXによる代位弁済によって法律上当然にXに移転しており、
本件購入者が本件自動車の交換価値を把握していないことの公示もされている

XはXを所有者とする登録なくして本件留保所有権をYに対抗し得るとして、別除権の行使を認め、Xの請求を認容。 
 
<判断>
自動車の購入者と販売会社との間で当該自動車の所有権が売買代金債権を担保するため販売会社に留保される旨の合意がされ、
売買代金債務の保証人が販売会社に対し保証債務の履行として売買代金残額を支払った後、
購入者の破産手続が開始されたj場合において、
その開始の時点で当該自動車につき販売会社を所有者とする登録がされているときは、
保証人は、前記合意に基づき留保された所有権を別除権として行使することができる。


上告を棄却。 
 
<規定>
民法 第500条(法定代位)
弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。

民法 第501条(弁済による代位の効果)
前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。
一 保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。
二 第三取得者は、保証人に対して債権者に代位しない。
三 第三取得者の一人は、各不動産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。
四 物上保証人の一人は、各財産の価格に応じて、他の物上保証人に対して債権者に代位する。
五 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。
六 前号の場合において、その財産が不動産であるときは、第一号の規定を準用する。
 
<解説> 
弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者のために弁済をし、当然に債権者に代位する法定代位の場合には、
任意代位の場合に求められる債権譲渡の対抗要件の具備が法律上求められていない上、
随伴性に基づく担保権の移転について独自の対抗要件を具備する必要はないと一般に解されている

保証人である信販会社は、保証債務の履行として販売会社に売買代金債務の弁済をした場合には、販売会社の売買代金債権及びこれを担保するための留保所有権を法定代位により取得し、求償権の範囲内でこれらを行使することができ(民法500条、501条)、
信販会社は販売会社の留保所有権の効力をそのまま第三者に取得することができるものと解される。 

前記取得後に購入者の破産手続が開始した場合には、信販会社は、破産手続上の第三者性を有するとされる破産管財人に対し、留意保所有権を別除権として行使することができる。

民法501条1号は、抵当権等の代位について、担保不動産の第三取得者を保護するため付記登記を求めている
but
破産管財人を同号にいう第三取得者とみるのは困難
自動車の移転登録には付記登記と異なり債務者の協力を要する

破産管財人、ひいては破産債権者を保護するため、付記登記に代えて信販会社を所有者とする登録を要するという考え方は採り難い
(同号は、平成29年法律第44号による民法(債権関係)改正による削除されている。)
 
●最高裁H22.6.4:
自動車の販売とほぼ同時に信販会社が販売会社に対し売買代金残額を立替払し、その後、信販会社に割賦払をしていた購入者の再生手続が開始されたが、その時点では自動車につき販売会社を所有者とする登録がされており、信販会社を所有者とする登録がされていなかった。

当事者の合理的意思解釈により、
信販会社は、残代金相当の立替金債権に加えて手数料債権を担保するため、販売会社から代位によらずに留保所有権の移転を受け、これを留保することを合意したものと解し、
民再法45条が一般債権者と別除権者との衡平を図るなどした趣旨をも考慮して、購入者の再生手続開始の時点で審判会社を所有者とする登録がされていても、信販会社が立替金債権及び手数料債権を担保するための留保所有権を別除権ととして行使されることは許されない。 

平成22年最判:
販売会社と信販会社の有する各留保所有権の被担保債権が異なった⇒留保所有権の移転につき代位によらないこととする合意がされたとの解釈
but
本件:
そのような解釈の余地が残らぬよう、留保所有権が法定代位により移転することを確認する合意がされており、法定代位による移転の妨げとなる事情はない。

事案が異なる。

本件の売買代金には、割賦販売の手数料が含まれているところ、
このような手数料は、いずれ販売j会社から信販会社に支払われるものであるとしても、三者間の合以上は販売会社が購入者から割賦払を受けるもので、支払が滞れば信販会社から販売会社に代位弁済されることになる
⇒手数料部分も残代金債権の一部として法定代位により移転すると解すべきことが前提とされている。
 
●平成22年最判以降、自動車割賦販売における三者間の合意において、同最判の事案におけるような立替払方式よりも保証委託方式が多く採用され、法定代位による留保所有権の移転を排除しない趣旨が明示される傾向。 

判例時報2385

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