« 信用取引が違法な過当取引に当たるとされた事案 | トップページ | テレビ用ブラウン管の海外子会社への販売価格に係る日本国外での合意について、独禁法の適用の可否 »

2019年1月 9日 (水)

団体交渉拒否の不当労働行為に当たるとされた事案

東京地裁H30.1.29      
 
<事案>
学園側出席者は、組合側出席者に対し、団交③において、㋐組合側出席者の人数が7名以内でなければ団体交渉の議題に入ることができない旨を述べ、㋑最終的にその場から退席。
 
Z(Y(国)の補助参加人)は、東京都労働委員会に対し、X(学校法人)が労組法7条2号の規定に違反した旨の申立て⇒都労委は、Xの対応が同号に規定する不当労働行為に当たるとして、Xに対し救済命令を発した⇒Xは、Yに対し、前記救済命令を不服として再審査の申立て⇒Yは当該申立てを棄却する旨の命令
⇒Xが、前記命令の取消しを求めた事案 
 
<規定>
労組法 第7条(不当労働行為)

二 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

<解説>
●労組法7条は、使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと(同条2号)を使用者による不当労働行為として禁じている。

かかる正当な理由のない団体交渉拒否については、交渉の日時、場所、時間、人数等に関する正当でない理由を主張しての交渉拒否がこれに当たり得る。(菅野)

使用者が負うべき団体交渉義務の基本的な内容として、使用者には労働者の代表者と誠実に交渉に当たる義務がある。(菅野)

団体交渉への出席者の人数に関しては、団体交渉における交渉担当者としての組合代表者を何名にするかは労使双方が協議して決めるのが望ましいが、意見の一致をみない場合には、組合自身の決定に任せるほかはない旨の指摘。

●本判決:
Xの前記㋐の対応については、
Xが組合側出席者の人数を7名以内とするように求めることが相当であると認められるものであるといった特段の事情がない限り、Zがこれを応諾しなかったことを理由に団体交渉の議題に入らないとの態度をとることは許されない。
そのような特段の事情があるとは認められない本件においては、Xは、前記誠実交渉義務の内容として、Zから前記条件を付す理由等について尋ねられた場合にはこれに誠実に回答すべき義務を負っていたとした上、
X、Z双方の対応の合理性等を検討し、
Xに誠実交渉義務違反があったと認めた。

Xの前記㋑の対応について、
団交③におけるZ側の言動にも一定の非があったことを認めた上で、
前記言動がされるに至った経緯、理由や前記言動の程度、態様を検討し、この中で、前記言動がXの合理性のない態度への抗議として行われたものであることや、Xの態度が改善されれば前記言動も改善されたであろう可能性を考慮し、
これらを踏まえ、
Xの団交③における対応を全体としてみれば、Xが正当な理由なく団体交渉を拒否したものと判断したものと理解される。

判例時報2385

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« 信用取引が違法な過当取引に当たるとされた事案 | トップページ | テレビ用ブラウン管の海外子会社への販売価格に係る日本国外での合意について、独禁法の適用の可否 »

判例」カテゴリの記事

労働」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/67574501

この記事へのトラックバック一覧です: 団体交渉拒否の不当労働行為に当たるとされた事案:

« 信用取引が違法な過当取引に当たるとされた事案 | トップページ | テレビ用ブラウン管の海外子会社への販売価格に係る日本国外での合意について、独禁法の適用の可否 »