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2018年12月

2018年12月 3日 (月)

大崎事件の第三次請求即時抗告審決定

福岡高裁宮崎支部H30.3.12   
 
<事案>
原審の再審開始決定⇒検察官の即時抗告⇒即時抗告を棄却

第一次再審第一審:再審開始の決定⇒即時抗告審:再審請求棄却⇒特別抗告審:即時抗告審を維持「なお、記録によれば、申立人提出に係る新証拠の明白性を否定して本件再審請求を棄却すべきものとして原判断は、正当として是認することができる
第二次再審:第一審、即時抗告、特別抗告も棄却
第三次再審請求
 
<原審>
「法医学鑑定」(A鑑定)⇒死因を頚部圧迫による窒息死と推定した①旧鑑定の証明力を減殺、

供述心理学鑑定(捜査官が録取したDの供述調書を鑑定資料として実施したB・C新鑑定)⇒Dの目撃供述の信用性判断においては慎重な判断をする必要があることを明らかに⇒D供述によって補強されていたF、Gらの供述の信用性評価に影響を与える可能性

新旧全証拠を用いて(FGHの各供述の信用性判断を改めて行うことを含めて)事実認定全体の再評価を行うもの。
 
<判断>
●検察官の即時抗告を棄却 
B・C新鑑定(供述心理学鑑定)の明白性を肯定した原決定の判断は、何ら合理的根拠を示さない不合理な判断。
B・C新鑑定は、その鑑定手法及び鑑定内容も不合理⇒B・C新鑑定の明白性を否定。

A鑑定(法医学鑑定)につき、「頚部圧迫による窒息死であることを積極的に認定できる所見がない」という限度で肯定した原決定につき
A鑑定は①旧鑑定をいささかも左右しないのに、①旧鑑定の証明力を減殺したものと評価している点において不合理な判断。

●A鑑定の証明力につき、「『Kの死因につき窒息死と推定し、頚項部に作用した外力により窒息死したと想像した』とする①旧鑑定が誤りであり、『タオルで頚部を力いっぱい絞めて殺した』とする確定判決の認定事実とKの解剖所見は矛盾しており、Kの死因は転落事故等による出血性ショック死の可能性が高い」としたA鑑定の結論部分は、十分な信用性を有している
A鑑定が旧証拠に及ぼす影響につき詳細に検討し、さらに、確定一審判決の心証形成の過程も具体的に検討して、
A鑑定が確定審において取り調べられた場合には、確定審におけるF、G、Hらの供述は、信用性を基礎付ける客観的根拠が喪われることにより、その信用性には重大な疑義が生じる。
⇒A鑑定の明白性を認める判断。

 
<解説>
本決定:
「新証拠の証明力評価」を先行させ、「新証拠が旧証拠に及ぼす影響」を検討し、「確定審の心証形成の過程」を確認した上で、新証拠が旧証拠に及ぼす影響が確定判決の事実認定にどのような影響を及ぼしたのかを検討。

第一次再審即時抗告審と同様「限定的再評価説」の流れに属する。

判例時報2382

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2018年12月 1日 (土)

甲子園出場を決めた高校の後援会による補助金の目的外使用について、返還請求を求める住民訴訟

盛岡地裁H30.4.20      
 
<事案>
その硬式野球分が甲子園全国大会出場を決めたA高校を後援するために設立されたB後援会(権利能力なき社団)に対し、C市から1000万円の補助金が交付されたことについて、X(C市住民)が、執行機関であるY(C市長)に対し、本件補助金がC市の補助金交付規制及び要綱所定の用途(出場生徒の交通費・宿泊費)以外の用途に使用された⇒補助金交付決定を取り消して本件補助金の返還請求をしていないこと(怠る事実)の違法確認とB後援会に対して返還請求をすることを求めた住民訴訟
 
<差戻前一審> 
Xの主張する不当利得返還請求権は、補助金交付決定が取り消されて初めて発生するところ、これを取り消すべきか否かは行政管理上の判断事項⇒前記不当利得返還請求権は地自法242条1項所定の「財産」に当たらない 
 
<控訴審>
本件補助金が他用途に使用されたと認められる場合、その返還を求めるに際し交付決定の取消しをすることは手続上の要件にすぎず、Yには、特段の事情のない限り、本件補助金の返還を求めない裁量はない。 

同返還請求をしないことは、本件補助金の交付決定を行わないことも含めて、地自法242条1項所定の「財産」の管理を怠る行為に該当
⇒差戻前一審判決を取り消した。
 
<判断>
B後援会は、解散後も清算の目的の範囲内で権利能力なき社団として存続⇒本件訴えは適法。

①本件補助金は、根拠放棄であるC市の補助金交付規制及び要綱に従って交付されているところ、これら規定によれば、補助金の交付対象となる経費は大会出場者の交通費及び宿泊費(交通費等)に限定されている
②・・・目的外使用となるのは、本件補助金か1000万円から交通費等に充当された金額を控除した、420万6275円
補助金の目的外使用があった場合、補助金の返還を請求しないことを相当とする特段の事由が存しない限り、執行機関はその返還を求めん変えればならないと解されるところ、単にB後援会が解散したというだけでは特段の事情があるとはいえない。
本件補助金のうち目的外使用がされた部分以外については、これを取り消すかどうかはYの一般行政管理上の裁量判断による⇒当該措置の是非は住民訴訟の対象として想定されていない。

前記420万6275円の支払請求を怠ることの違法確認とこれをB後援会に対して支払請求することを求める限度で、原告の請求を認容

拘束力(行訴法33条1項)⇒本件補助金の交付決定を取り消す義務を主文に掲載する必要はない。
 
<解説>
認容判決に特有の本案上の論点に関し、
公金からの収入と他の収入とが混和し支出がいずれによるものか区分できない場合の公金返還の範囲の点について、
①公金と全体の支出の比による按分計算によって例と
②公金から目的内支出を差し引くことによる差額計算によった例
がある。

判例時報2382

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