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2018年11月22日 (木)

保険会社が代位取得した損害賠償請求権を行使する場合に弁護士費用を請求できるか?(否定)

名古屋高裁H29.10.13      
 
<事案>
上下区分のない幅4.2メートルの道路において、X1~X3が乗車するX1運転自動車と、対抗して進行してきたA運転自動車が衝突し、X1~X3が負傷したとする交通事故の事案。
A運転自動車の保有者であるYに対し、X1~X3が、自賠法3条に基づく損害賠償を請求し、保険会社であるX4が、X1の損害賠償請求権を代位取得したとして保険法25条に基づく請求をした。 
 
<争点>
①事故態様
②過失相殺
③損害
④X4による代位取得の成否 
 
<原審>
・・・X4が保険契約に基づきX1に損害の填補として支払った金額から自動車損害賠償責任保険支払分を控除した額及び弁護士費用について代位取得を認め、X1~X4の請求を一部認容。 
 
<判断>
X4による代位取得の成否においては、原判決認定の弁護士費用を認めなかった。
 
<解説>
●保険会社が損害賠償請求権を代位取得して請求する場合に弁護士費用が認められるか?

最高裁:
弁護士費用について、
事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、不法行為と相当因果関係に立つ損害をいうべきであるとし(最高裁昭和44.2.27)、
使用者の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償についても、不法行為に基づく請求との比較から認めている(最高裁H24.2.24)。

債務不履行は直ちに不法行為を構成するものではなく、とりわけ金銭債務の履行遅滞については、民法419条2項の条文上の制約からも弁護士費用の請求はできないのが本来。(最高裁昭和48.10.11)

原則として否定的に解される。

本判決:
①X4の請求は、本件代位により取得した損害賠償請求権に基づく求償金請求これに要する弁護士費用が当然に賠償の対象となるものではない
②X4が、弁護士費用が賠償の対象となる旨の具体的な主張・立証をせず、他に、これを認めるべき事情もうかがわれない。

X4の弁護士費用を否定

判例時報2381

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