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2018年11月26日 (月)

ツイッターでの著作権侵害と発信者情報開示請求

知財高裁H30.4.25      
 
<事案>
Xが、ツイッターにおいて、Xの著作物である本件写真が、
1⃣氏名不詳者により無断でアカウントのプロフィール画像として用いられ、その後当該アカウントのタイムライン及びツイートにも表示されたこと、
2⃣氏名不詳者により無断で画像付きツイートの一部として用いられ、当該氏名不詳者のアカウントのタイムラインにも表示されたこと、
3⃣氏名不詳者らにより無断で前記②のツイートのリツイートがされ、当該氏名不詳者らのアカウントのタイムラインに表示されたこと
により、Xの写真についての著作権(複製権、公衆送信権(送信可能化権を含む。)、公衆伝達権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権、名声声望保持権)が侵害された

「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(「プロバイダ責任制限法」)4条1項に基づき、
前記1⃣~3⃣のそれぞれについて、Y1(ツイッターインク)、Y2(Twitter Japan ㈱)に対し、発信者情報の開示を求めた。 
 
<原審> 
Y1に対する請求を、1⃣2⃣の各アカウントのメールアドレスの開示を求める限度で認容、
Y1に対するその余の請求及び
Y2に対する請求を
いずれも棄却。 
 
<判断>
●Y2について
Y2は、ツイッターを運営する者ではなく、ツイッターの利用についてユーザーと契約を締結する当事者でもない
本件証拠上、Y2が発信者情報を開示する権限を有しているとは認められない
⇒Y2に対する請求は理由なし。
 
●本件におけるリツイートがXの著作権を侵害したか 
①Xが著作権を有しているのは、本件写真であるところ、本件写真のデータは、リンク先のサーバーにしかない⇒送信されている著作物のデータは、そのサーバーのデータのみ
②公衆送信は「公衆によって直接受信されることを目的として送信を行うこと」
公衆送信権侵害との関係では、リンク先のデータのみが「侵害情報」というべき
③自動公衆送信の主体は、当該装置が受信者からの求めに応じ、情報を自動的に送信できる状態をつくり出す行為を行う者と解される(最高裁H23.1.18)ところ、本件写真のデータは、リンク先のデータのみが送信されている⇒その自動公衆送信の主体は、リンク先のURLの開設者であって、リツイート者らではない

その侵害を否定し、幇助者にも当たらない。
複製権侵害、公衆伝達侵害についても否定。
 
●本件におけるリツイートがXの著作者人格権を侵害したか? 
同一性保持権につき
①本件においてリツイートによって表示される画像は、リンク元に保存されている画像とは異なるものであり、表示するに際して、リツイート行為の結果として送信されたHTMLプログラムやCSSプログラム等により、一や大きさなどが指定されたために、画像が異なっている
②表示される画像は、思想又は感情を創作的に表現したものであって、著作権法2条1項1号にいう著作物ということができるところ、表示するに際して、HTMLプログラムやCSSプログラム等により、位置や大きさなどを指定されたため、表示されている画像は前記のような画像となった

リツイートによって改変されたもので、同一性保持権が侵害されている

氏名表示権について
リツイートによって表示されている画像には、Xの氏名は表示されていないところ、表示するに際してHTMLプログラムやCSSプログラム等により、位置や大きさなどが指定されたために、前記のような画像となり、Xの氏名が表示されなくなった⇒その侵害を認めた

名誉声望保持権の侵害は否定。
 
●Xが開示を求める最新のログイン時IPアドレス及びタイムスタンプは、本件において侵害情報が発信された各行為と無関係であり、
「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第4条第1項の発信者情報を定める省令」4号の「侵害情報に係るIPアドレス」及び7号の「侵害情報が送信された年月日及時刻」のいずれにも当たらない。 
1⃣~3⃣についてメールアドレスの開示請求を認めた
 
<解説>
●ハイパーリンク⇒リンク元のウェブページには、リンク先のURLが表示されるだけ。
インラインリンク⇒リンク先のウェブサイトの画像がリンク元のウェブページに自動的に表示される⇒閲覧者はリンク先のウェブサイトの画像を目にすることになる。 
本件においては、インラインリンクについての著作権及び著作者人格権の侵害が問題となった
リンク先のウェブサイトの画像のデータは、リンク先のサーバーから直接送信される⇒リンクを張ることが、ハイパーリンク、インラインリンクともに、著作権(送信可能化権を含む公衆送信権、複製権)の侵害とはならないとする説が多い。
but
インラインリンクについては、著作者人格権の侵害となることがあるとされる。

●ゲームソフトの影像は、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものとして最高裁H13.2.13 

判例時報2382

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