« ツイッターのアカウント全体の削除を求めた仮処分が認容された事例 | トップページ | 地方公共団体に勧告の義務があることの確認を求める訴訟の確認の利益の有無(否定) »

2018年11月 1日 (木)

代表取締役に対する取締役会の招集通知を欠いたが、取締役会決議の結果に影響がないと認められるべき特段の事情があるとして、決議が有効とされた事例

東京地裁H29.4.13    
 
<事案>
Y社の代表取締役であったXが、Y社に対し、取締役会決議について、Xに対する適法な招集通知を欠いているとして、無効であることの確認を求めた事案。 
 
<事実>
Xは、Y社の代表取締役として、Y社内で必要な手続を経ないまま、X以外の取締役をいずれも解任し、Xの息子を執行役員社長に選任したこと等を内容とする人事発令。

Xを除くY社の取締役らがXらの行動への対応策を協議し、臨時取締役会を開催することとした。 
その日の午後11時23分、Xを含む全取締役及び監査役のY社内で割り当てられている各メールアドレスに対し、翌日午前9時30分からY社内会議室において、本件取締役会を開催すること等を内容とする電子メールを送信。

Xを除く取締役ら6名及び監査役が出席し、Xを代表取締役から会食する議案を出席取締役6名のうち1名(棄権)を除く5名の賛成により可決し、Xを代表取締役から解職する旨の決議が成立。
 
<争点>
①Xに対して本件取締役会の招集通知がされたといえるか
②Xが本件取締役会に出席してもなお本件決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情があるか 
 
<判断>
取締役会の招集通知は、各取締役に到達することを要し、招集通知が各取締役に到達したというためには、当該取締役の了知可能な状態に置かれること(いわゆる支配圏内に置かれること)を要する
②Xは自らパソコンを操作することがなく、Y社内におけるXのパソコンはY社内の秘書室において管理されていた上、本件メール送信時においても、秘書室においてXのメールアドレスの受信状況を確認していなかったことがうかがわれる⇒本件メールがXのメールアドレスに係るメールサーバに記録されたことをもって、Xの了知可能な状態に置かれた(支配圏内に置かれた)ということはできない。 

取締役会の開催に当たり、取締役の一部の者に対する招集通知を欠く場合には、その招集手続に瑕疵があり、取締役会の決議は無効になる。
but
その取締役が出席してもなお決議の結果に影響がないと認められるべき特段の事情があるときは、前記瑕疵は決議の効力に影響がないものとして、決議は有効になる。

①Xを除く取締役らは、本件取締役会の前夜、顧問弁護士らも交えて協議をし、Xの息子が判断能力の低下したXを利用してY社に混乱をもたらすこと等を防止するため、Xを代表取締役から解職するとの意見を形成するに至り、
このことについて反対の意見を述べたり、賛成することにとどまったり、意見を留保したりした者がいたとの事情はうかがわれない。
②前記意見は、相応の根拠に基づく強固なものであったと推認される

XがY社の取締役会において相当に強い影響力を有していたこと等を考慮しても、Xが本件取締役会に出席してもなお本件決議の結果に影響がないと認めるべき特段の事情がある
 
<解説>
「特段の事情」とは、
決議と反対の側に投票されても、票数の上で決議を動かすに足りないということのみならず、
その取締役が他の取締役との関係で取締役会において占める実質的影響力、その取締役について予想される意見、立場と決議の内容との関係などから判断して、同人の意見が決議の結果を動かさないであろうことが確実に認められるような場合がこれに当たるとされる。 

判例時報2378

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« ツイッターのアカウント全体の削除を求めた仮処分が認容された事例 | トップページ | 地方公共団体に勧告の義務があることの確認を求める訴訟の確認の利益の有無(否定) »

判例」カテゴリの記事

商事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/67336417

この記事へのトラックバック一覧です: 代表取締役に対する取締役会の招集通知を欠いたが、取締役会決議の結果に影響がないと認められるべき特段の事情があるとして、決議が有効とされた事例:

« ツイッターのアカウント全体の削除を求めた仮処分が認容された事例 | トップページ | 地方公共団体に勧告の義務があることの確認を求める訴訟の確認の利益の有無(否定) »