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2018年11月 8日 (木)

骨髄移植手術を受けた患者が脳梗塞を発症して死亡。看護師の過失との因果関係を否定。

大阪高裁H29.2.9      
 
<事案>
Pの父母であるX1とX2は、Y附属病院の医師の過失により、免疫抑制剤であるプログラフを過剰投与され、その副作用により脳梗塞を発症して死亡したと主張⇒Yに対して、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償を請求。 
 
<原判決>
Xらの請求を棄却 
   
Xらは控訴。
併せて、Y附属病院の看護師の過失、Y附属病院自身の過失の主張を追加するとともに、
適切な医療を受けておれば、その死亡した時点においてなお生存していた可能性等を失い、また、適切な医療を受けることについての期待権を侵害されたとして、不法行為に基づく損害を予備的に追加主張
 
<判断>
プログラフの過剰投与があったことは明らか。
but
①鑑定によれば、過剰投与による脳梗塞の発症の可能性は否定できないものの、プログラフの量は、副作用としての脳梗塞を発症するだけの条件が十分であったとまでは認めることができないし、
プログラフの投与が原因とされる脳梗塞の発症例が多いということはできない

過剰投与と脳梗塞発症との間に相当因果関係を認めることは困難。 

Pの全身状態の悪化等からすれば、過剰投与がなかったからといって、脳梗塞の発症を回避したり、死亡の結果を回避したりすることができる相当程度の可能性があったということはできない
④過剰投与の発生について過失が認められるが、Y附属病院の医療行為が著しく不適切であったということはできない

Yの損害賠償を否定した原判決は結論において相当
 
<解説>
因果関係の立証について、

最高裁昭和50.10.24:
訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、
経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、
その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる

①プログラフは、種々の移植における拒絶反応の抑制に適応するが、これを服用すると、脳梗塞等を発症し、致死的な経過をたどることがあるとされ、
本剤を移植で使用するときは、免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師の指導のもとで行わなければならないとされている。
②鑑定でも、過剰投与により脳梗塞を発症した可能性を否定できないとされている。
過剰投与と脳梗塞との因果関係はかなり微妙

判例時報2379

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