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2018年11月23日 (金)

嫡出否認の訴えの提起を子の父のみに認める民法の規定の違憲性及び立法不作為の違法性(否定)

神戸地裁H29.11.29      
 
<事案>
X4は婚姻関係継続中に懐妊⇒嫡出推定⇒不受理⇒X1は無戸籍となった。 

嫡出否認の訴えの提起を子の父(子の母の夫)のみに認める民法774条ないし776条の「本件各規定」は、合理的な理由なく、父と子、夫と妻の間で差別的な取扱いをしており、社会的身分による差別を禁止する憲法14条1項に該当し、同項及び憲法24条2項に違反⇒国会は本件各規定の改正を怠っており、その「立法不作為」は国賠法上違法⇒Y(国)に対し、同法1条に基づき、国賠請求。
 
<争点>
本件各規定の憲法14条1項ないし24条2項適合性の有無とその適合性が否定された場合の立法不作為の違法性。 
 
<規定>
憲法 第14条〔法の下の平等、貴族制度の否認、栄典の限界〕
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

憲法 第24条〔家族生活における個人の尊厳と両性の平等〕
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
 
<判断>
●本件各規定の憲法14条1項適合性 
本件各規定は、父と子及び夫と妻との間において、嫡出否認権の行使について区別をしているということができる。

最高裁H27.12.16を参照し
「立法府に与えられた・・・裁量権を考慮しても、なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合、又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には、当該区別は合理的な理由のない差別として、憲法14条1項に違反すると解される」

民法772条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否認するためには、夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし、かつ、同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは、身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる。

最高裁H26.7.17を引用し、
「本件各規定は、憲法14条1項に違反しない」
 
●憲法24条2項適合性
同項の趣旨を踏まえ、
妻や子について、その嫡出否認に係る利益を考慮しても、夫と同様に嫡出否認権を認めることには必ずしも合理性があるということはできない⇒本件各規定について、憲法24条2項の観点からも合理性を欠くということはできず、同条に違反しない。
 
<解説>
民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は、平成20年当時において、憲法14条1項、24条2項に違反するに至っていた。
(最高裁H27.12.16)

民法900条4号ただし書前段の規定は、遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していた。
(最高裁H25.9.4)

判例時報2381

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