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2018年11月27日 (火)

特許法74条1項に基づく移転登録請求と主張立証責任

大阪地裁H29.11.9      
 
<事案> 
Xが、Yに対し、Yの所有に係る特許権はYの冒認出願により設定登録されたなどとして、特許法74条1項に基づき、本件特許権について移転登録手続をすることなどを求める事案。 
 
Xの主張: 特許権移転登録請求における主張立証責任について、
Xが請求原因として自らの発明と本件特許権に係る発明の同一性を主張立証する必要があるが、XがYに対して自らの発明を開示し、Yがそれを本件特許発明二利用したことまで主張立証する必要はない。
 
<規定>
特許法 第74条(特許権の移転の特例)
特許が第百二十三条第一項第二号に規定する要件に該当するとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に規定する要件に該当するときは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる。
 
<判断>
特許法74条1項の特許権の移転請求制度は、真の発明者又は共同発明者がした発明について、他人が冒認又は共同出願違反により特許出願して特許権を取得した場合に、当該特許権又はその持分権を真の発明者又は共同発明者に取り戻させる趣旨によるもの。

同項に基づく移転登録請求をする者は、相手方の特許権に係る特許発明について、自己が真の発明者又は共同発明者であることを主張立証する責任がある。

異なる者が独立に同一内容の発明をした場合には、それぞれの者が、それぞれがした発明について特許を受ける権利を個別に有することとなる。

相手方の特許権に係る特許発明について、自己が真の発明者又は共同発明者であることを主張立証するためには、単に自己が当該特許発明と同一内容の発明をしたことを主張立証するだけでは足りず、
当該特許発明は自己が単独または共同で発明したもので、相手方が発明したものでないことを主張立証する必要があり、
これを裏返せば、相手方の当該特許発明に係る特許出願は自己のした発明に基づいてされたものであることを主張立証する必要があると解するのが相当。

このように解することは、
特許法74条1項が、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者であることと並んで、特許が123条1項2号に規定する要件に違反するときのうちその特許が38条の規定に違反してされたこと(すなわち、特許を受ける権利が共有に係るときの共同出願違反)又は同項6号に規定する要件に該当するとき(すなわち、その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたこと)を積極的要件として定める法文の体裁にも沿う。
 
<解説>
●特許権移転登録請求制度 
いわゆる冒認出願については、
真の権利者が自ら特許出願した後に、偽造された譲渡証に基づいて出願人名義が変更された事案において、特許権の移転登録請求を認めた最高裁判決(最高裁H13.6.12)があるが、
真の権利者が自ら特許出願していなかったことなどを理由として特許権の移転登録請求を認めなかった下級審判決もある。

平成23年の特許法改正:
真の権利者が自ら出願していたか否かにかかわらず、真の権利者が、冒認出願等に基づく特許権の特許権者に対して、その特許権の移転登録を請求することができる特許権移転登録請求制度が導入
 
判例時報2382

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