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2018年10月28日 (日)

署名のある媒介契約書の成立の真正の推定が覆された事案

大阪高裁H30.3.8      
 
<事案>
Xが、Yとの間のY所有不動産売却についての一般媒介契約に基づくXの媒介行為により、同不動産の売買契約が成立した⇒本件媒介契約に基づき、約定報酬54万4320円と遅延損害金の支払を求めた。 
 
<一審・二審>
本件媒介契約に関する本件媒介契約書は、Yの署名がある⇒真正に成立したものと推定され、これを覆すに足りる証拠はない
本件売買契約は、Xの媒介契約により成立⇒Xの請求を認容。
 
<判断>
①Yは、他の書類には押印までしたにもかかわらず、あえて本件媒介契約書についてのみ押印しなかったことからすれば、Yには本件媒介契約を締結する意思がなかったことを示すものというべき
②売買契約締結時には、売買代金の決済は行われたが、X側が、売買代金から媒介報酬を控除してYに支払うという処理をしなかった⇒Yが本件媒介契約書への押印を拒否することによって、本件売買契約を締結しない意思を明らかにし、媒介報酬の支払に応じなかったことを示すというべき
本件売買契約締結に至る経緯・・・・⇒Yにおいて、本件売買契約締結に至ったことについて、Xに媒介報酬を支払う意思がなかったため、本件媒介契約書への押印を拒絶したと考えても、格別不自然なことではない。

Yは本件媒介契約を締結する意思がなかったため本件媒介契約書への押印を拒んだものと認められYの署名があることによる本件媒介契約書が真正に成立したとの推定は覆されているというべき。 
 
<規定>
民訴法 第228条(文書の成立)
文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する
 
<解説>
文書に記載された意味内容が証拠に用いられるためには、その文書が真正に成立したものでなければならない。
文書が成立したことは、文書が挙証者の主張する作成者の意思に基づいて作成されたことを意味する。 

押印のある私文書の作成について、推定が破れる事例としては、
印章の紛失、盗難などの盗用型
印章が冒用された場合の冒用型
署名のある私文書については作成が否定された事例は見当たらない。

判例時報2378

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