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2018年10月31日 (水)

ツイッターのアカウント全体の削除を求めた仮処分が認容された事例

さいたま地裁H29.10.3      
 
<事案。
債権者は、他人が開設したツイッターのアカウントにおいて、債権者が元AV女優Bと同一人物である旨の虚偽の事実が摘示されて名誉権が侵害されていると主張⇒米国のツイッター社に対し、人格権に基づく妨害排除請求権に基づき、アカウント全体の削除と返信ツイートとして投稿された記事の削除を求めて、仮の地位を定める仮処分命令の申立て。 
 
<判断>
本件アカウントは、アカウント名、プロフィール欄の記載、ヘッダ画像及び投稿記事の全てにおいて、債権者が本件アカウント開設したかのように装い偽った上で、閲覧者に対し、債権者が元AV女優であって、投降した画像のアダルトビデオに出演しているかのよな印象を与え、かつ、債権者がそのような画像を投稿したかのような印象を与えることを目的として、開設され表現がされた。

アカウント全体が、どの構成部分をとってみても、債権者の人格権を侵害することのみを目的として、明らかに不法行為を行う内容の表現である。

アカウント全体が不法行為を目的とすることが明白であり、これにより重大な権利侵害がされている場合には、権利救済のためにアカウント全体の削除をすることが真にやむを得ないものというべきである。

例外的にアカウント全体の削除を求めることができる
 
<解説>
名誉権の侵害のおそれを理由に出版を差し止めるなどの表現行為に対する事前抑制は、
表現の自由を保障し検閲を禁止する憲法21条の趣旨に照らし、
厳格かつ明確な要件のもとにおいてのみ許容されうる。(最高裁昭和61.6.11) 

人格的価値を侵害された者は、人格権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができ
どのような場合に侵害行為の差止めが認められるかは、
侵害行為の対象となった人物の社会的地位や侵害行為によって受ける被害者側の不利益と
侵害行為を差し止めることによって受ける侵害者側の不利益とを比較考量して決すべき
であり、
侵害行為が明らかに予想され、その侵害行為によって被害者が重大な損失を受けるおそれがあり、かつ、その回復を事後に図るのが不可能ないし著しく困難になると認められるとき侵害行為の差止めを肯認すべき。
(最高裁H14.9.24)

本件:
アカウント全体の削除が表現行為の事前差止めの性質も含む点を考慮して、表現行為の事前抑制に関する判例の趣旨を踏まえ明白かつ重大な権利侵害があることを要件として、例外的にアカウント全体の削除を認めた

民事保全規則9条2項6号に基づき、理由ではなく、理由の要旨を記載。

仮処分決定は、債務者の審尋がされた当日中に無担保で発令

判例時報2378

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