« インターネットでの投稿まとめによる名誉毀損・侮辱の不法行為(肯定) | トップページ | 配偶者暴力法8条の2の援助申出の相当性の判断が国賠法上違法とされる場合 »

2018年9月11日 (火)

刑事弁護の報酬請求にあたり、説明義務違反⇒弁護士の損害賠償責任(肯定)

大阪地裁H29.9.20      
 
<事案>
被告:弁護士
原告:被告に刑事弁護を依頼した者 

原告は、被告に対し、原告が実質的に経営する複数の会社及び原告自身についての法事税法違反等の刑事事件の弁護を委任し、
本件委任契約に基づき、
着手金として432万円、
「軍資金」の名目で120万円を支払った。
その後、原告は、被告を解任。

原告:
被告に対し、
①本件着手金につき、
被告が本件委任契約に基づく弁護活動をほとんど履行しないうちに、被告を解任た⇒本件委任契約の終了に基づく前払報酬返還請求として、
本件着手金のうち、被告が解任されるまでになした弁護活動の報酬相当額等を除いた金銭の返還を請求し、
②本件軍資金につき、
(i)被告は、弁護士としての職務に反し、
刑事手続を恐れる原告の心理状態に乗じて、
「軍資金」なる名目で使途を説明せず、
用途不明瞭な120万円を請求
した上、
その後も再三にわたり追加の報酬及び費用の支払を求めた
不法行為に基づく損害賠償請求として、本件軍資金相当額及び慰謝料の支払を求め
(ii)予備的に、
被告が本件委任契約に基づく弁護活動をほとんど履行しないうちに、被告を解任した
本件委任契約の終了に基づく前払報酬返還請求(さらに予備的に本件委任契約の終了に基づく前払費用返還請求)として、本件軍資金の返還を請求
 
<判断>
着手金について
本件委任契約の主たる目的及びその履行の有無を検討し、
本件委任契約で主たる目的とされた事務について、被告は解任されるまでの間にこれを履行していた
⇒請求を認めず。
 
●本件軍資金について 
①弁護士はその職務上、依頼者に対し、受任事務の内容を明らかにするとともに、弁護士報酬等について、十分説明すべき義務を負っている
②被告としては、本件軍資金について、弁護士費用であることを説明すべきであり、ましてや、「軍資金」などという誤解を招く表現で、使途は説明できないかのような態度で金銭を要求することは、原告の誤解を招くもの
弁護士の職務上の義務に反する

不法行為に基づく損害賠償責任を肯認し、本件軍資金相当額の支払を求める限度で原告の請求を認容
 
<解説> 
弁護士の説明義務違反を認めた判例:
債務整理に係る法律事務を受任した弁護士が、消滅時効の完成を待つ方針を採るのであれば、当該方針に伴う不利益やリスクを説明するとともに、回収した過払金をもって債権者に対する債務を弁済することにより最終的な解決を図るという選択肢があることも説明すべき義務を負っていた
(最高裁H25.4.16)

事件を受任した弁護士は、委任契約に基づく善管注意義務の一環として、委任者に対し、一定の場合に説明義務を負う

弁護士職務規定29条1項
弁護士の報酬に関する規定5条1項

判例時報2372

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« インターネットでの投稿まとめによる名誉毀損・侮辱の不法行為(肯定) | トップページ | 配偶者暴力法8条の2の援助申出の相当性の判断が国賠法上違法とされる場合 »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/67158296

この記事へのトラックバック一覧です: 刑事弁護の報酬請求にあたり、説明義務違反⇒弁護士の損害賠償責任(肯定):

« インターネットでの投稿まとめによる名誉毀損・侮辱の不法行為(肯定) | トップページ | 配偶者暴力法8条の2の援助申出の相当性の判断が国賠法上違法とされる場合 »