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2018年9月 3日 (月)

相殺の抗弁が時機に遅れた攻撃防御方法に当たるかどうかが争われた事案

東京高裁H29.4.27      
 
<経緯>
Xは、平成26年12月17日に、Yに対し、業務委託契約に基づき、未払委託料及び源泉所得税等の立替金の合計1045万6996円円の支払を求める本件訴訟を提起。
提訴から10か月近く経過した同年10月14日の第5回口頭弁論期日において、Yは、業務委託料に水増しなどがあるため合計885万5700円の不当利得返還請求権及びYの理事兼従業員の報酬名目で合計540万円を支払わせたことによる同額の不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているとして、これらを自働債権として相殺の意思表示をした。

Xは、相殺の抗弁は時機に遅れた攻撃防御方法であるとして却下を求めた。
 
<規定>
民訴法 第156条(攻撃防御方法の提出時期)
攻撃又は防御の方法は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならない

民訴法 第157条(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
2 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。
 
<原審>
相殺の抗弁を却下した上、弁論を終結し、Xの請求につき、1004万7036円の支払を求める限度で認容。 
 
<判断>
相殺の抗弁の主張が訴訟の完結を遅延させるものということはできない。 
 
<解説>
時機に遅れたかどうかについては、審理状況などを考慮して総合的に判断される。 

相殺の抗弁については、時機に遅れたものかどうかの判断において、その自働債権が本来的には訴訟の経過と関係なく権利行使が可能
相殺適状となった時期が重要。(大判昭和17.10.23)
第12回口頭弁論期日で初めて提出された相殺の抗弁の主張を時機に遅れたものとして却下。

本件:
Xの釈明事項や客観的な資料の提出をまって、Yにおいて、相殺の抗弁の基礎となる事実を形成させる途上にあり、
②請求に係る業務委託料と抗弁の水増し分の不当利得額がいわば表裏の関係にある⇒当事者の合意の内容を確定させることで、YのXに対する相殺の抗弁の内容も確定される
⇒訴訟の経過や審理の内容などからすれば、抗弁の機会を奪うべきではない。
原審の第5回口頭弁論期日以降も当事者の主張立証がなされることは明らかであった。

原審に審理不尽

判例時報2372

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