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2018年9月27日 (木)

陳述書の作成等が名誉毀損による不法行為となる場合

大阪地裁H30.1.11      
 
<事案>
A大学の教授であったXが、当時A大学の学生であったYが
「私が、A大学大学院在学中にX教授からセクハラ・アカハラ被害を受けたことは事実であり」などと記載された陳述書を作成し、本件陳述書がYの了解の下に、Xと第三者との間の別件訴訟において書証として提出
⇒名誉を毀損されたなどとして、Yに対し、不法行為に基づき慰謝料等を請求。 
 
<争点>
①本件陳述書によってXの名誉が毀損されたか
②Yが本件陳述書を作成し訴訟において提出されることを了解したことが違法か 
 
<判断>
●争点① 
XがYに対するセクハラ・アカハラ行為をした旨の本件陳述書の記載内容がXの社会的評価を低下させることは明らか。
本件陳述書が作成され、別件訴訟において書証として提出されたことにより、Xの社会的評価が低下し、Xの名誉が毀損された。
 
●争点② 
民事訴訟における陳述書が主尋問を一部代替又は補完する機能のみならず作成者の法廷での供述内容を事前に相手方に明らかにする証拠開示機能(反対尋問権保障機能)を有している
⇒その真実性の要請のみを過度に重視すべきではない。

仮に、・・・とすれば、、陳述書の作成者は自己の認識にかかわらず裁判所によって認定されることが確実と思われる事実しか記載しなくなる
⇒陳述書の前記機能が失われるとともに当事者の立証活動に大きな萎縮的効果が生じ、ひいては実態の解明を困難にするなど、民事訴訟の運営に支障を来すことが容易に生じ得る。

当事者等の社会的評価を低下させる事実や当事者等の名誉感情を害する事実が記載された陳述書を作成し訴訟において書証として提出する行為は、
作成者が陳述書記載の当該事実の内容が虚偽であることを認識しつつあえてこれを記載し行なった場合に限り、違法性を帯びる。

本件陳述書についてはその内容(セクハラ・アカハラ被害)が虚偽であるとまでは認められない
Yが本件陳述書を作成し訴訟において書証として提出されることを了解したことは、違法性を帯びず、Yに不法行為は成立しない。
 
<解説> 
民事訴訟におけつ当事者等による陳述書の作成・提出行為がどのような場合に名誉毀損として不法行為に当たるか? 

①当該陳述書の内容が、要証事実に関連性を有し、明らかにする必要性がある限り、他人の名誉を毀損し、もしくは侮辱することになったとしても、それが真実と認められる場合には、違法性を阻却し、不法行為に当たらない。
(東京地裁H13.4.25)

②その当事者において、特に故意に、しかも専ら相手方を誹謗、中傷する目的の下に、粗暴な言辞を用いて主張立証行為を行ったような場合等特段の事情がない限りは、原則として違法性は認められない。
(東京地裁H14.12.17)

③~⑥

違法と評価されるには、「その記載内容が客観的な裏付けを欠く(客観的裏付けのあることを立証できない場合を含む。)というだけでは足りず、少なくとも、陳述書に記載された事実が虚偽であること、あるいは、判断等の根拠とされた資料に看過できない誤りがあり、作成者がその誤りを知り又は当然に知り得たことを要する」(東京地裁H27.10.30)

判例時報2373

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