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2018年9月14日 (金)

労働者の自殺の業務起因性(肯定)

大阪高裁H29.9.29      
 
<事案>
A(当時24歳の男性)は、高速道路の巡回、管制、取締等交通管理業務を行うことを主な事業内容とする本件会社に勤務し巡回等の業務に従事。
平成24年5月25日から26日にかけての本件夜勤に従事した後、同月28日自殺。 
 
<争点>
労働者Aの死亡の業務起因性
①Aが本件自殺の直前頃うつ病を発症したか
②同うつ病は業務に起因して発症したか 
 
<解説>
厚生労働省は、平成23年12月、労働基準監督署長が精神障害の業務起因性を判断するための基準として「心理的負荷による精神障害の認定基準」(「認定基準」)を策定。 
認定基準は、
対象疾病を発病していること
対象疾病の発病前おおむね6カ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと
のいずれの要件も満たす対象疾病について、業務上の疾病として取り扱うこととしている。
 
<一審>
出来事②は『嫌がらせ、いじめを受けた場合』に該当するとはいえない。
出来事③、⑦~⑩の各出来事について、それぞれ、客観的にみて精神障害を発症させるに足りる程度に強度の心理的負荷があったとまでは認められない

当該業務と本件疾病(うつ病)発症との間に相当因果関係があると認めることはできない。
 
<判断>
労働者が発症した疾病等について、業務起因性を肯定するためには、業務と前記疾病等との間に相当因果関係のあることが必要であると解されている(最高裁昭和51.11.12)。

本件の事実関係を、因果関係の有無に関する、ルンバール事件等の判例法理の見地に立って総合検討
すると、Aは、本件各出来事による心理的負荷によって、本件自殺の直前頃、うつ病を発症したことを推認することができる。
 
<解説> 
本判決は、うつ病の発症につき業務起因性を判断するに当たって、
「認定基準所定の各認定要件を満たしているかどうかを判断基準として、因果関係の有無を判断する」という判断手法をとるのではなく、
ルンバール事件等の判例法理と同様、
間接事実(因果関係のの有無に関わる間接事実)の総合検討を行って、因果関係の有無の判断
を行った。 

判例時報2372

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