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2018年9月10日 (月)

インターネットでの投稿まとめによる名誉毀損・侮辱の不法行為(肯定)

大阪地裁H29.11.16      
 
<事案>
在日朝鮮人のフリーライターであるXが、Yが平成25年7月1日から平成26年7月3日までの間、インターネット上にXに関する投稿の内容をまとめた45本のブログ記事を掲載⇒名誉毀損、侮辱、人種差別等に当たる⇒不法行為に基づき、慰謝料2000万円及び弁護士費用200万円の合計2200万円の支払を求めた。
 
<争点>
①本件各ブログ記事の内容はXの権利を侵害するか
②本件各ブログ記事の掲載行為による新たな権利侵害があるか 
 
<判断>
●争点①:本件各ブログ記事の内容はXの権利を侵害するか
本件ブログ記事のうち
①一部は、Xの行動が在日朝鮮人の特権を守るための言論の弾圧や恫喝に当たるという意見ないし論評を表明するなどし、Xの社会的評価を低下させる表現を含む
②ほぼ全ては「キチガイ」「朝鮮の工作員」等の侮辱的又は不穏当な表現を多数用いてXの精神状態、知的能力、人種、性別、年齢、容姿等を揶揄するなどし、その名誉感情を著しく害する内容である上、これらが約1年間にわたって同一のブログに順次掲載される形で積み重ねられていった⇒社会通念上許される限度を超えた侮辱に当たる内容を含む
③多くは、在日朝鮮人であることを理由にXを著しく侮辱し、日本の地域社会から排除することを扇動するもの⇒人種差別に当たる内容を含む

本件各ブログ記事のうち44本のブログ記事について、名誉毀損、侮辱、人種差別などに当たる内容が含まれている。
 
●争点②:本件各ブログ記事の掲載行為による新たな権利侵害があるか 
①Yによる表題の作成、情報量の圧縮、引用元の投稿の並べ替え、表記文字の強調といった行為により、本件各ブログ記事は、引用元の投稿を閲覧する場合と比較すると、記載内容を容易に、かつ効果的に把握することができるようになった
②本件各ブログ記事の内容は、2ちゃんねるのスレッド又は原告のツイッターの読者以外にも広く知られたものになった

本件各ブログ記事の掲載行為は、引用元の2ちゃんねるのスレッド等とは異なる、新たな意味合いを有するに至った

Yにより前記44本のブログ記事の掲載行為は、2しゃんねるのスレッド又はツイッター上の投稿の掲載行為とは独立して、新たにXの人格権を侵害
 
●Yにより前記44本のブログ記事の掲載行為という不法行為により、Xの人格権が侵害された
⇒Yに対し、慰謝料180万円及び弁護士費用20万円の合計200万円の支払を命じた。 
 
<解説>
新聞記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかについて、
一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきものとされている(最高裁昭和31.7.20)。
インターネット上の記事についても同様。(最高裁H24.3.23) 

侮辱的表現について、社会通念上許される限度を超える侮辱であると認められる場合に人格権を侵害するものと解されており、
インターネット上の侮辱的な表現についても同様。(最高裁H22.4.13)

判例時報2372

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