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2018年9月25日 (火)

私立大学医学部に通う申立人が、父である相手方に、扶養料の支払いを求めた事案

大阪高裁H29.12.15      
 
<事案>
Y(医師)と母(薬剤師)は、平成5年に婚姻し、Xと長女をもうけた。
Yは、平成19年頃不貞が発覚⇒平成21年に医院を開業して自宅を出た。
平成23年に離婚を申入れ、平成23年に5000万円のローンを組んでマンションを購入し、Xらは箱はそこに移り住んだ。
Yは、母に対し、平成23年に離婚の調停申立て、平成24年にXと長女の親権者を母と定めて離婚する旨の調停が成立。

養育費:
子ら1人500万円の一時金と
子らが大学(医学部を含む)卒業まで1人月額25万円を支払う。
私立大学医学部に進学する場合、子らが直接Yに希望を解絶え、不足分については別途協議する。

財産分与として、母に前記マンションの持分2分の1を分与し、母子に住まわせ、Yにおいて住宅ローンを完済し、将来Yの持分(残り2分の1)もXに譲渡。
Yは、平成25年に再婚⇒養育費の減額調停⇒大阪高裁は、標準的算定方式に準拠し、養育費減額の申立てを却下。
母は、Yに対し、子らとの面会交流を求める調停を申し立てたが、Yはこれを拒み、審判で認容された後も子らとの交流に応じていない。
母は、Yに対し、奨学金を受けるためXを扶養家族から外すよう求めたが、これも拒否。

Xは、平成27年4月、2浪して私立大学医学部に入学。
医学部進学後の学費を扶養料として支払うよう求めて調停を申立てが、平成29年不成立⇒審判手続きに移行。
 
<原審>
Xの私立大学医学部への進学に係る追加費用の負担について、
離婚時の調停条項

YはXが医学部に進学した場合を含め、大学卒業まで扶養義務を履行することを合意。
本件離婚の養育費は、私立大学を含む医学部進学を前提として、既存の養育費では不足が生じる場合、XからYに対し、扶養義務の履行として追加費用を請求できることが規定
Xが医学部在学中に要する追加費用は、学納金や書籍代等(合計3230万円)であり(Xの生活費等は除かれる)、
これをYと母の基礎収入で按分弁済(9対1)
⇒Yの分担k額2907万円程度。
ここから、養育費一時金500万円と毎月25万円の6年分(1800万円)、さらにXが高校卒業後(2浪中)の養育費(600万円)のうち200万円の合計2500万円を控除⇒Yが分担すべき追加費用は、6年間で407万円(月額5万7000円)
   
X・Y双方が抗告
 
<判断>
Yは、離婚時、Xの私立大学医学部進学への希望に沿い、
養育費だけでは医学部の学費等を賄えない事態を想定し、Xに対し、追加費用(扶養料)を負担する意向を有していた
。 

分担の対象:
大阪高裁決定のいて、先に定められた養育費が標準的算定方式に基づく算定金額を下回ることがないとの判断に着目。
既存の養育費のうち標準的算定方式では賄えない部分(これが医学部の学費に当たる。)のみを扶養料として請求できる

Yが負担すべき前記追加分(扶養料)の額の認定:
Xが医学部在学中に要する追加費用は、学納金等約3200万円。
そこから公立学校の教育費相当額(年間33万円)の6年分を控除した3000万円程度。


Yと母との按分割合:
母がその後、薬剤師として稼働し始めたほか、Yがローン全額を負担するマンションに居住
Y4に対し母1とし、Yの負担額は2400万円
ここから、先の養育費一時金500万円とXの2浪目の養育費(年額300万円)を控除し、さらに、
Xの養育費(月額25万円)が標準的算定方式の上限(月額18万円)を越えている⇒そこに私立大学の学費も一部考慮されたものとみて、本件の医学部在学中の6年間の養育費のうち月額10万円(720万円)を控除すべき

Yの分担額を6年間で880万円程度(年額150万円)と認定
支払方法は、学納金の納期限に合わせて年3回の分割払い。
 
<解説>
●父母が離婚に際し子の養育費を定めても、その後、子が要扶養状態にあるならば、子は自ら申立人となって義務者に対し、扶養料を請求できる。 
子が成人に達すると、原則として要扶養状態は解消される。
but
大学生など独立して生計を営むことができない場合、義務者の承諾(黙示を含む)があれば、大学卒業まではなお未成熟子として扶養料を請求することができる
 
●分担の可否
原審・抗告審とも、
Yと母の離婚時において、YはXが大学卒業まで扶養義務を履行することを合意した上、私立大学を含む医学部進学を前提として、養育費に不足が生じる場合、Xから扶養義務の履行として追加費用を請求できることが想定

①離婚時の調停条項の記載内容や、
②Y・母ともに医師一家に育ち、Yには医師として高額の収入がある
ことからすると、Y(義務者)の承諾を十分認め得るケース。

判例時報2373

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