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2018年9月29日 (土)

校外授業中の交通事故で死亡⇒国賠請求(肯定)

横浜地裁小田原支部H29.9.15      
 
<事案>
小学校6年生の児童が校外授業中に交通事故に遭い死亡した事例。 
 
Aの両親であるX1及びX2が、
Y2に対し運行供用者責任及び不法行為責任を、
Y1市及び費用負担者であるY3県に対し、本件小学校の教員Bが授業の実施にあたって児童の生命身体に対する安全を確保するために必要な措置を講じていなかったとして国家賠償責任を、
それぞれ求めた。
Aの弟であるX3も、Yらに対し、共同不法行為に基づき、固有の慰謝料請求を求めている。
 
<判断> 
●自動車を運転していたY2について、
進路前方の安全を十分に確認しないまま漫然時速5キロメートルで発進させて本件交通事故を発生させた
運行供用者責任及び不法行為責任を認めた

過失相殺の主張:
Y2は、本件小学校正門前でAがしゃがんで絵を描いていることを認識しながら、その直後、車を発進させる際にこれを失念し、本件交通事故を生じさせたのに対し、
Aは図工の授業中に絵を描くためにB教諭の許可を得て事故現場にいた

本件交通事故はY2の一方的な過失によって生じたものというべきであり、Aに過失相殺すべき落ち度はない
 
●本件交通事故当時、
本件小学校の児童を迎えに来た保護者の車両が本件小学校正門前に複数台駐車することが常態化していた。

B教諭としては、児童が図工の授業中に本件公道を含む校外で絵を描くことを認めれば、前記状態のため本件公道をさほど危険なものと認識しない児童において前記車両の付近でしゃがむなどして絵を描く者が出てくることや、その結果児童が前記車両によって死亡することを容易に予見することができた

B教諭の過失を肯定

Y1市の公権力の行使にあたる公務員であるB教諭が、その職務を行うについて、過失によって違法にA及びXらに損害を加えた
⇒Y1市は国家賠償責任を負う。

Y3県は、本件小学校の職員の給与その他の費用も負担していた
⇒Y3も国家賠償責任を負う。
 
●損害額:
Aの死亡による損害を6310万円余
Xらの固有の損害額を各100万円
弁護士費用を加算し、
両親のX1、X2にはそれぞれ3580万円余
弟であるX3には110万円
を認めた。 
 
<解説>
校外活動における担当教諭の注意義務を考えるにあたっては、
時間の経過に従い、
安全な授業計画を立案しているか、
授業前に児童に対して適切な指導をしていたか、
授業中に児童を適切に指導監督していたか
事故後に適切な対応をしたか
の観点から検討するのが大切。 

判例時報2373

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