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2018年8月 1日 (水)

インサイダー取引を理由とする課徴金納付命令が取り消された事例

東京高裁H29.6.29      
 
<事案>
処分行政庁は、平成25年6月27日、A証券会社の営業員P1がその職務に関し知った本件公募増資が決定された旨の事実について、Xがその伝達を受けながら、当該事実の公表前に売付を行った⇒Xに対し、課徴金6万円を納付することを命ずる旨の決定。 
 
<争点>
A証券会社の営業員P1が、公表前に、職務に関し本件公募増資に係る重要事項を知ったか否か。 
 
<判断>
P1が重要事実を知ったとは認められない⇒Xの請求を認容し、本件決定を取り消した。

金商法(平成23年改正前のもの)166条1項5号の規定により、上場会社等の契約締結の交渉中の法人等の他の役員等がその者の職務に関し重要事実を知ったといえるためには、
その者が職務に関し重要事実を構成する主要な事実を単に認識したというだけでは足りず
当該契約の締結もしくはその交渉をする役員等が知った重要事実が法人内部においてその者に伝播したものと評価することができる状況のもとで重要事実を構成する主要事実を認識した場合であることを要する。

Bが本件公募増資を行うことを決定したことは、法166条1項に規定する重要事実に該当する。
but
A証券会社内において、重要事実を伝達されたP2及びP3から、P1に対し、Bが本件公募増資を行うことを決定した可能性を積極的に示唆し、あるいは暗にその可能性を伝えることがあったとは認められない。
重要事実がP1に伝播したものとは認められず、P1が重要事実を職務に関し知ったということはできない。
 
<解説>
法166条1項又は3項の規定に違反した者には、課徴金の納付(法175条1項)が命じられ、さらには刑事罰(法197条の2第13号)が科される。
また、会社関係者から重要事実の伝達を受けた者についても、その他の一般投資家との間に情報格差が生じて不公平となる
⇒そのような者の有価証券等の売買等も禁止される(法166条3項)。

判例時報2369

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