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2018年8月14日 (火)

器械体操部での事故と学校側の損害賠償責任(肯定)

大阪高裁H29.12.15      
 
<事案>
Y(大阪府)の設置する高等学校の器械体操部に所属していたX1が部活動の練習中に鉄棒から落下して負傷し、重大ない後遺障害が残った事故。
X1とX1の母であるX2や姉であるX3・X4が、当時同部の顧問であったP1教諭、外部指導者であったP2コーチには、注意義務違反があり、これによってXらが損害を被った
⇒Yに対し、国賠法1条1項に基づき、損害賠償金の支払を求めた。 
 
<原審>
請求をいずれも棄却。 
 
<判断>
P2コーチがX1に対し通し練習に関する指導をするにあたっては、X1が前方車輪とは逆方向に回転を始める状態になった場合には、鉄棒から手を離して着地する危険回避方法をとらずに他の不確実な危険回避方法をとろうとすることのないように、必ず鉄棒から手を離して着地するよう指導すべき注意義務があり、
P2コーチには、通し練習に関する指導につき、注意義務を怠た過失がある。

P2コーチには、X1が鉄棒を逆手握りで握りつづけたまま前振りになったときに、補助行為によってX1の回転を止めることができるよう、自ら補助者として鉄棒下の適切な位置に立つべき注意義務があり、P2コーチには、自ら補助者として鉄棒下に立つことなく、鉄棒から約10メートル離れた位置に立ってX1の演技を見ていたことにつき、注意義務を怠った過失がある。
 
<解説>
クラブ活動中の生徒の事故について、学校側の責任を追及する方法としては、
債務不履行責任として構成する方法と、
不法行為責任として構成する方法
がある。

課外のクラブ活動であっても、それが学校の教育の一環として行われるものである以上、その実態について、学校側に生徒を指導監督し事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務がある(最高裁)。
注意義務の具体的内容として、

事前注意義務
指導監督上の注意義務
事故対応義務
などが挙げられ、

注意義務違反の存否の判断にあたっては、
クラブ活動の内容、生徒の学年や年齢、競技等の経験、健康状態、生徒側の指導違反等、様々な要素が考慮される。

判例時報2370

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