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2018年8月15日 (水)

未公開株式ファンドの販売に際しての説明義務違反(肯定)

東京高裁H29.4.26      
 
<事案>
ファンドの販売に関して、同ファンドに出資した投資家が損害の賠償を求めた事案。 
Y1:信託業務等を営む会社
Y5:その会計監査人
Y2:投資顧問業等を営む会社
Y3:その代表取締役
Y4:投資を勧誘した訴外Aの取締役ないし代表取締役であった者
X1及びX2:Y1の販売した信託型ベトナム未公開株式ファンド第1号に出資した者

X1及びX2は、本件ファンドの販売勧誘にあたり説明義務違反及び適合性原則違反があったとして、出資金相当額及び弁護士費用の損害の賠償をともめ、併せてY1の会計監査人Y5に対し、任務懈怠を理由として、損害の賠償を求めた。
 
<争点>
①説明義務違反
②適合性原則違反
の有無 
 
<原審>
請求棄却。

適合性原則違反:
X1:本件ファンドへの投資以前に1000万円程度の投資信託及び本件ファンドと同様に株価下落リスクがある現物株式の購入経験がある
X2:1100万円ないし1200万円程度の現物株式及び投資信託の購入経験等がある
⇒適合性原則違反は認められない。

説明義務違反:
①セミナー又は説明会で、Y3及びY4から、未公開株式の為替リスクや株価下落リスクなど想定される具体的リスクが説明された
②本件ファンドに元本補填や利益の補足がないことについて、複数のスライドを用いる方法での説明があった
③インターネットを通じての申込の際に確認することを求められる信託約款および申込説明書には具体的なリスクが記載。

Y1、Y3及びY4の説明に問題はないとして、説明義務違反を否定。
 
<判断>
説明義務違反を肯定し、一部認容。 
①信託約款や申込説明書による説明があったことは認められる
but
信託財産のうち総額5億5300万2791円を要して未公開株式が購入されたにもかかわらず、その実質の対価は出資金の約2割にあたる約1億9300万円にすぎず、約4割にあたる約3億6000万円は未公開株式を購入するに際しての仲介手数料に充てられていた
未公開株式購入額やこれに直接影響する高額の仲介手数料の存在及びその額等は、投資家にとって極めて関心の高い事項であるにもかかわらず、この点の説明は何らされていなかった
これについて何ら説明がなされなかったということは、本件ファンドの重要事項について説明が尽くされていたとはいえない

説明義務違反を肯定。
 
<解説>
契約締結に先だって、契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき事情を提供しなかった場合には、信義則上の説明義務違反として不法行為による損害賠償責任が生じる。(最高裁H23.4.22) 

説明義務の範囲や程度は、顧客の知識、取引経験等に応じて自己責任の下に合理的判断が可能かという点から決定される。(東京高裁H26.4.17)
具体的事情を詳細に検討する必要

判例時報2370

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