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2018年8月26日 (日)

真正商品の並行輸入で、商標が広告に付され、外国の商標権者と我が国の商標権者が異なる場合

知財高裁H30.2.7      
 
<事案>
我が国において「NEONERO」等の商標(本件商標)について商標権(本件商標権)を有するXが、Yの、本件商標と同一ないし類似の標章を商品に関する広告に付した行為(本件被疑侵害行為)が本件商標権侵害に該当
⇒Yに対し、Yの商品の販売等の差止め等を求めた。 
 
<判断>   
並行輸入品が、フレッドペリー事件最高裁判決(最高裁H15.2.27)の示す三要素を満たす場合には商標権侵害として実質的違法性を欠く、 

● 商標を広告に付する行為については、同最高裁判所の
当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものである」という要件を、
当該商品に当該商標を使用することが外国における商標権者との関係で適法であること」とすべき。
本件被疑侵害行為は、前記要件を充足する。

● 前掲最高裁判決の
「我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから、当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される」という要件(第3要件)につき、
外国の商標権者と我が国の商標権者とが異なる場合において、
外国の商標権者と我が国の荷商標権者とが法律的又は経済的に同一視できる場合には、原則として、外国の商標権者の品質管理可能性と我が国の商標権者の品質管理可能性は同一に期すべきものであるといえる。

ただし、外国の商標権者と我が国の商標権者とが法律的又は経済的に同一視できる場合であっても、我が国の商標権の独占権能を活用して、自己の出所に係る商品独自の品質又は信用の維持を図ってきたという実績があるにもかかわらず、外国における商標権者の出所に係る商品が輸入されることによって、そのような品質又は信用を害する結果が生じたといえるような場合には、
この利益は保護に値するということができる


Xが、PVZ社とは独自に、Xの商品の品質又は信用の維持を図ってきたという実績があるとまで認めることはできず、
Yの商品の輸入や本件被疑侵害行為によって、Xの商品の品質又は信用を害する結果が生じたとはいえず、Xに保護に値する利益があるということはできない
⇒本件被疑行為は前記要件を充足する。

⇒本件被侵害行為は商標権侵害の実質的違法性を欠く。
 
<解説>
●商標を広告に付する場合 
フレッドペリー事件最高裁判決が示した、
いわゆる真正商品の並行輸入が商標権侵害の実質的違法性を欠く場合の要件のうち、
「当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者らから使用許諾を受けた者により適法に付されたものである」との要件は、
商標が商品に付されている場合の要件

本件における身飾品のように、商品自体に商標が付されておらず、商品を輸入してから、我が国において商品に関する広告に商標を付した場合
A:
商品に商標が付されていると仮定して当該商品の輸入行為が商標権侵害の実質的違法性を欠くか否かを検討した上で、商品の輸入行為が商標権侵害の実質的違法性を欠く場合には、当該商品の宣伝広告に商標を使用する行為も商標権侵害の実質的違法性を欠くというアプローチ。
B:
広告に商標を使用するという行為について、商標権侵害の実質的違法性を欠くか否かを検討するというアプローチ。

本判決は、Bの立場を採用。
 
外国の商標権者と我が国の商標権者が異なる場合の品質管理可能性 

商標法で保護されるべき商標の機能は、
第一次的に出所表示機能であり、
商標の品質保証機能とは、商標の付された商品等が、商標の表示する出所に由来することによって、商品等の出所の管理する品質を備えていることを保証する機能

フレッドペリー事件最高裁判決の出所表示機能に関する「当該外国における商標権者と我が国商標権者とが同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより、当該商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するもの」である場合には、商標の示す出所は1つであり、その出所の管理する品質にも違いがない。

本判決:
例外的に、我が国の商標権者が自己の出所に係る商品独自の品質又は信用があり、そのような信用等が外国商標権者の出所に係る商品の輸入によって害される結果が生じた場合には、我が国の商標権者の商品独自の品質を、品質管理可能性の要件において管理される「品質」であるとすべき。

判例時報2371

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