« ガスレンジによって一酸化炭素中毒にり患⇒業者に損害賠償請求 | トップページ | 船舶油濁損害賠償保険法と国土交通大臣等の要件適合確認義務(否定) »

2018年8月23日 (木)

福島第一原発の事故で自主避難⇒損害賠償請求

大阪高裁H29.10.27      
 
<事案>
Xら(父X1、母X2、子X3~X5)が、福島第一原発を設置・運営するY(旧東京電力)に対し、同原発の事故のために家族で福島県内から自主避難せざるを得なくなり、X1が精神疾患に罹患したことで、Xらは精神的苦痛を被った。
X1及びX2は就労ができなくなった。

原発法3条1項本文に基づき、損害賠償を求めた。 
 
<判断>   
自主避難を継続する合理性が認められる期間

原審:
Xら全員につき平成24年8月31日(中間指針等に基づき、18歳以下及び妊娠していた者につき、Yが精神的損害等を賠償する対象期間の終期)まで

本判決:
X2~X5については原審の判断を維持
X1について:
同人が自主避難の当初平成23年内には福島県に帰還する予定であったことや子らの監護の必要性など
⇒同年10月31日まで。 
 
●長期低線量被ばくの健康リスク:
原審と同様、年間20msvを下回る被ばくが健康に被害を与えるものと認めるにはたりない
年間20msvを下回るようになった後において自主避難の合理性を認めることは困難
 
●うつ病について
原審と同様、X1が避難開始後うつ病等に罹患したことと本件事故との間に相当因果関係を認めた。
but
保険事故と相当因果関係のある治療期間及び就労不能期間について:

原審:うつ病の症状が残存する現在においても就労不能状態が続いている。

本判決:
自主避難によってX1の受けたストレスの強度等の事情に加えて、うつ病の回復や復職期間に関する報告等を考慮

治療開始時から約2年間経過した平成25年11月30日までを本件事故と相当因果関係のある治療期間と認め、
本件事故と相当因果関係のある就労不能期間も同日までと認めるのが相当。
 

X1が避難開始後うつ病等にり患したことにつき、本件事故以外の要因が精神疾患の悪化に相当程度寄与
⇒民法722条2項を類推適用してX1及びX2の休業損害等について減額
その割合を、
X1につき60%から40%に
X2につき30%から20%に
それぞれ変更。

判例時報2371

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
 真の再生のために(事業民事再生・個人再生・多重債務整理・自己破産)用HP(大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文))

|

« ガスレンジによって一酸化炭素中毒にり患⇒業者に損害賠償請求 | トップページ | 船舶油濁損害賠償保険法と国土交通大臣等の要件適合確認義務(否定) »

判例」カテゴリの記事

民事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/132655/67088333

この記事へのトラックバック一覧です: 福島第一原発の事故で自主避難⇒損害賠償請求:

« ガスレンジによって一酸化炭素中毒にり患⇒業者に損害賠償請求 | トップページ | 船舶油濁損害賠償保険法と国土交通大臣等の要件適合確認義務(否定) »