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2018年7月21日 (土)

資料請求における外国人差別で不法行為成立事案

大阪地裁H29.8.25    
 
<事案>
我が国の永住資格を有する外国人(トルコ国籍)であるXが、中古自動車販売の加盟店事業等を行う株式会社Yに対し、Yのウェブサイト上に設けられた無料の資料請求フォームを用いて、Yが運営する加盟店事業の内容及び加盟店契約に関する資料の請求を行なった。
 
Yの従業員Aによって、原告が外国籍を有することのみを理由に資料の送付を拒否された

不当な外国人差別(国籍差別)ないしは人種差別に当たり、人格権を侵害されたとして、不法行為(使用者責任715条1項)に基づき、慰謝料の損害賠償を求めた。 
 
<争点>
AがXに対して資料の送付を拒否した行為が、憲法14条1項に反する不当な外国人差別(国籍差別)に当たり、民法上も違法な行為として不法行為を構成するか否か。 
 
<判断>
憲法上の人権規定が私人間の法律関係に及ぼす影響:
憲法の人権規定は私人相互の関係を直接規律することを予定する者ではないj。
but
当該規定の趣旨は、私的自治の原則との調和を図りつつ、民法709条など個別の実体法規の解釈適用を通じて実現されるべきものである(最高裁昭和48.12.12)。

Yに契約締結の自由ないし営業の自由(憲法22条)が保障されることを考慮してもなお、YないしAにより資料送付許否行為が合理的理由を欠き、社会的に許容し得る範囲を超えて原告の法的利益を侵害すると認められる場合には、民法上も違法なものとして、不法行為を構成する。 

Yの提供する資料請求サービスは、Yの事業経営の一環として集客目的ないし顧客獲得のための情報提供を目的として設けられたものであり、Y自身が、広く一般公衆に資料請求サービスの利用を認め、また、一般公衆に対し当該サービスの提供を受けられるとの合理的期待を惹起している。
そのような場合においては、Yに契約の自由ないし営業の自由が認められるとしても、請求者の特定の属性のみを理由に何ら合理的な根拠に基づくことなく資料送付に応じないことは、憲法14条1項の趣旨に照らし、不合理な差別的取扱いに当たる
⇒不法行為の成立が認められる。
 
<解説>
私人間における外国人に対する差別的取扱いが不法行為を構成するかが争われた事例:

<責任肯定>
①店舗へ等への入店許否・利用許否が問題となった事例
②賃貸物件への入居許否が問題となった事例。

<責任否定>
③永住資格のない外国人の住宅ローン申込みに応じなかった銀行の行為
④ゴルフクラブへの入会許否

無料の資料請求サービスの拒絶という、直ちに請求者の具体的な利益が侵害されるとはいえない場面においても、場合によっては人格権を侵害する不当な差別的取扱いとして不法行為が成立し得ることを明らかにしたもの

判例時報2368

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