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2018年7月30日 (月)

契約書に訴訟についてにみ管轄合意がある場合の調停についての管轄合意

大阪地裁H29.9.29      
 
<事案>
レンタル基本契約の契約書に管轄条項
「この契約について訴訟の必要が生じたときは、C地方裁判所又はA簡易裁判所を管轄裁判所とすることに合意します。」
申立人はA管轄裁判所に調停申立て。 
相手方は、この管轄条項は、、訴訟に関する合意であって、調停に関する合意ではない⇒基本事件をB簡裁へ移送する申立て。
 
<規定>
民事調停法 第3条(管轄)
調停事件は、特別の定めがある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。
 
<原決定>
移送申立てを却下。 
 
<判断>
民調法3条1項は、特別の定め又は当事者間の合意がない限り、相手方の住所等を管轄する簡易裁判所に調停の申立てをすると定めているが、
これは合意による紛争解決を目的とする調停事件について、
相手方の出頭の便宜に配慮し、調停の円滑な進行に資する
ところにある。

レンタル基本契約の管轄条項は、文言上、訴訟についての管轄を定めるものであり、調停についても管轄の合意があったと解釈することはできない
⇒原決定を取り消して、相手方の移送申立てを認容。
 
<解説>
民調法3条1項
~主として、相手方の出頭の便宜を考慮したものであり、調停を起こされる側の出頭の利便を考慮することが衡平にかない、調停の円滑な進行に資する

申立人が自己の住所等を管轄する裁判所に調停の申立てをすることができるとすると、遠隔地に居住する相手方に対してみだりに調停の申立てをして、過料の制裁によって相手方の出頭を強制する結果となり、相手方にとって甚だ過酷なことになる。 

契約書の管轄合意条項に訴訟にのみで調停についての合意がない場合、大阪地裁は、調停についての管轄合意書の提出がない調停申立てを管轄する簡裁へ移送する運用

非訟法(平成23年法律第51号)が施行され、民調法22条が、特別の定めのある場合を除いて、調停に関しては、その性質に反しない限り、非訟法第2編の規定を準用
⇒同法施行(平成25年1月1日)以降は、委任事項として「訴訟行為」に加えて「手続行為」が記載された委任状が一般的に使用されている。

「手続行為」の記載がない委任状
民調法17条に基づく調停に代わる決定(17条決定)に対する異議申立て等の種々の手続行為について、適切に委任されているかの問題が生じる可能性がある。

判例時報2369

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