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2018年7月 5日 (木)

郵便局員の警察官への情報提供と通信の秘密等の侵害(肯定)

大阪地裁H29.11.29      
 
<事案>   
 
<判断>   
Y(A郵便局の局長)が、警察官の求めに応じて、
差押許可状の提示前に郵便局の保管状況や差出人、発信局等の情報を警察官に提供したこと、
差押許可状の対象外である郵便物を交付したこと
を認定。 
 
●郵便物の情報提供について 
通信の秘密及び信書の秘密の保護範囲が、通信の内容のみならず通信の存在自体にも及び、信書の差出人及び受取人の氏名や住所等も保障される

公権力がそれらの情報を取得するには強制捜査によらなければならず、警察官が強制捜査によらずにYに当該情報の提供を求めたことは国賠法上違法
郵便の業務に従事する者が、強制捜査によらない情報提供の求めに応じることも、守秘義務の存在に鑑みれば、不法行為に当たる

Yが、令状の呈示前に、警察官に対し、郵便物の存在、差出人及び発信局等の情報を提供したことは通信の秘密を侵害。

郵便法50条5項に基づく損害賠償責任の免責、同法56条に基づく除斥期間の経過等の主張:

①同法50条は郵便局の役務を安価であまねく公平に提供するという趣旨に基づく規定と解される
②捜査機関に郵便物の情報を提供することは郵便の役務を提供する過程に通常含まれるものではない
⇒本件のような場合まで同条で免責されるとは解されない。
同法56条の適用範囲も同様に限定される。
 
●郵便物の差押えについて 
郵便物の捜索は刑訴法上許容されていないと解される。
but
①捜査機関が捜索を行うことなく郵便物を差し押さえることは現実的でない
②郵便の業務に従事する者が守秘義務を負う

捜査機関は、郵便の業務に従事する者の協力を得て、郵便物を差し押さえることが予定されている。
郵便の業務に従事する者は、みだりに郵便物の通信の秘密等が侵害されることのないよう、令状の記載に照らして押収されるべき物を選別する義務を負う。

が、警察官に対し、令状に記載された郵便物と発信局が異なり、差押目的物に該当しない郵便物を提供し、差押えさせたことは違法

警察官については、令状記載の差押目的物と異なる郵便物を差し押さえたことが違法
 
<解説>
通信の秘密及び信書の秘密の保護範囲が、通信の内容のみならず通信の存在に関する事柄まで及ぶ。
(通説・裁判例) 

判例時報2366

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