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2018年7月31日 (火)

朝鮮人労働者の強制連行に係る記事が虚偽⇒不法行為に基づく損害賠償請求(否定)

甲府地裁H29.11.7      
 
<事案>
Xら150名が、Yが発行する日韓新聞紙「A新聞」に掲載した、・・・・Xらの知る権利を侵害したと主張⇒Yに対し、不法行為に基づき、慰謝料各1万円及び遅延損害金の支払を求めた。 
 
<判断>
憲法21条等のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、国又は地方公共団体の統治行動に対して基本的な個人の自由と平等を保障することを目的としたものであって、私人相互の関係については、たとえ相互の力関係の相違から一方が他方に優越し、事実上後者が前者の意思に服従せざるを得ないようなときであっても、適用ないし類推適用されるものではない。
憲法21条1項の規定が私人であるYに対する関係で適用ないし類推適用されることを否定。 

不法行為の要件の1つである違法性について
違法性を検討するに当たって、憲法の人権規定を1つの要素として考慮に入れるのが適切な場合には、これを考慮に入れて判断すべき
but
マス・メディアの報道と国民の知る権利との関係についてみると、知る権利は、国民が様々な情報に接することを可能にするという意義を有するものであるところ、
現代社会においては、国民は、新聞、雑誌、放送等、様々な報道機関による多様な報道に触れることができる
あるマス・メディアが真実に反する報道をしたとしても、それによって直ちに国民の知る権利がおびやかされるとはいえない。

多様な情報が飛び交っている中で何を信頼するかは、情報の受け手の判断に委ねられている⇒国民が特定の報道機関の報道によって真実を知る権利を有するとはいえない

新聞社側の表現の自由という観点:
新聞社には表現の自由が保障されており、新聞社が行う報道の内容は、新聞社の自律的判断に委ねられている
⇒過去の報道内容について事後的に疑義が生じた場合や報道を予定していた内容に疑義が生じた場合の対応についても、新聞社の自律的判断に委ねられている


A新聞の読者や一般国民の法律上保護される利益が侵害されていたということはできないとして、Xの請求をいずれも棄却
 
<解説>
国民が憲法21条1項の表現の自由の派生原理として「知る権利」を有している。
but
私人相互の関係では、保障されていない。
(最高裁) 

判例時報2369

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