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2018年6月 1日 (金)

インターネット上の掲示板に他人の顔写真やアカウント名を利用してなりすまし⇒名誉権、肖像権侵害・人格の同一性に関する利益の侵害

大阪地裁H29.8.30      
 
<事案>
Xは、YがSNSの掲示板においてXのアカウント名及び顔写真を使用してXになりすまし、第三者を罵倒するような投稿等を行った⇒名誉権、プライバシー権、肖像権及びアイデンティティ権を侵害された⇒慰謝料、発信者情報開示費用及び弁護士費用を請求。 
 
<判断> 

①発信者情報開示によりY宅から投稿がされたことが明らか
②Yと同居していたYの父親がXの代理人弁護士に対してYが投稿を行ったと回答

YがXのアカウント名および顔写真を使用して投稿。 
 

名誉権について:
Yが他の利用者を侮辱、罵倒する内容の投稿を行ったことで、掲示板を利用する第三者に対し、Xが他者を根拠なく侮辱、罵倒して場を乱す人間であるかのような誤解を与え、Xの社会的評価を低下させた
⇒名誉権侵害を肯定。
 

YがXの顔写真を無断で使用したことについて、
Xが自らの顔写真をインターネット上に掲載⇒プライバシー権侵害は否定。
but
①YがXの顔写真を名誉権を侵害する投稿に使用
②Xの要望を侮辱するような投稿を行った
Xの肖像権に結びつけられた利益のうち名誉感情に関する利益を侵害し、社会生活上受忍すべき限度を超えて肖像権を侵害

X:名誉権や肖像権を侵害していない他の投稿について、Xは人格的同一性を保持する利益であるアイデンティティ権を侵害したと主張

本判決:
人格の同一性に関する利益も不法行為法上保護される人格的利益になり得る
but
なりすましの意図・動機、なりすましの方法・態様、なりすまされた者がなりすましによって受ける不利益の有無・程度等を考慮して、社会生活上受忍できる限度を超えた侵害がある場合に違法性が認められる。

①アカウント名等は、インターネット上のサイト内で通用するものにとどまり、変更も可能
②第三者からもなりすましの指摘がされていた

社会生活上受忍の限度を超えるものではない。
   

Xの請求のうち、
名誉権及び肖像権侵害に関する請求を認容
 
<解説>
①インターネット上における匿名での名誉毀損については、被害者が、被害回復を目的とした訴訟を提起するためには、加害者の特定のためにプロバイダに対する発信者情報開示の手続を行う必要
②弁護士の協力を得ずにそれを遂行することは困難
③それらの負担のために、被害回復を諦めざるを得ないとすれば不当

開示費用等を不法行為と相当因果関係のある損害とした。 

判例時報2364

大阪のシンプラル法律事務所(弁護士川村真文)HP
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