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2018年5月 2日 (水)

弁護士会が行う懲戒処分の差止請求は行政事件訴訟法が定める差止めの訴えによるべき⇒これによらずに民事上の差止請求である独禁法24条に基づく差止請求によることは不適法

東京高裁H28.10.27      
 
<事案>
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(「独禁法」)24条に基づいて弁護士懲戒処分を行うことの差止請求がなされる等した事案。 
 
<請求> 
弁護士X1及びその依頼者のX2(学校法人Aの職員)は、AがY1弁護士会所属弁護士であるX1を対象弁護士として行った懲戒請求事件並びにX2がX1を代理人としてY2弁護士会に対して行った弁護士B及びCを対象弁護士とする懲戒請求事件等に関し、次の訴えを提起。

Y1に対する請求:
X1に対する懲戒請求事件について、Y1が綱紀委員会の議決を踏まえ懲戒委員会に事案の審査を求める旨の決定(「本件Y1決定」)をしたことに関し、X1に懲戒事由がないにもかかわらずされた同決定には独禁法上の違法がある等の理由による、次の各請求。

(ア) (X1による)独禁法24条に基づく本件Y1決定に基づく懲戒処分を行うことの差止請求
(イ)
主位的に:不法行為に基づく損害賠償請求(X1及びX2に対してそれぞれ180万円)
予備的に:本件Y1決定の違法確認請求

Y2に対する請求:
B及びCに対する各町会請求事件について、Y2が各綱紀委員会の議決を踏まえてしがBを懲戒しないとの決定(「本件Y2決定①」)及びCを懲戒しないとの決定(「本件Y2決定②」)に関し、
B及びCに懲戒事由があるにもかかわらずされたこれの決定には独禁法上の違法がある等の理由による、次の各請求

主位的に:不法行為に基づく損害賠償請求(X1及びX2に対してそれぞれ160万円)
予備的に:本件Y2決定①及び本件Y2決定②の違法確認請求

Y3(日弁連)に対する請求:
本件Y2決定①に対する異議について、Y3が綱紀委員会の議決を踏まえてすいた異議の申出を棄却する旨の決定(「本件Y3決定①」)に関し、
Bに懲戒事由があるにもかかわらずされた同決定には独禁法上の違法がある等の理由による、次の各請求。

主位的:不法行為に基づく損害賠償請求(X1及びX2に対してそれぞれ80万円)
予備的:本件Y3決定①の違法確認請求
 
<規定>
行訴法 第3条(抗告訴訟)
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

独禁法 第24条〔差止請求〕 
第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、その利益を侵害する事業者若しくは事業者団体又は侵害するおそれがある事業者若しくは事業者団体に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
 
<判断>
X1のY1に対する懲戒処分差止請求について訴えを却下。

同請求に係る紛争が法律上の争訟に当たることは明らか
②同請求は独禁法24条に基づくものであり、その性質上民事の差止請求であるところ、差止の対象は弁護士会が行う懲戒処分という公権力行使であり、行訴法所定の抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
同法において抗告訴訟としての差止めの訴え(同法3条7項)が法定されている以上、これによらずに独禁法24条に基づく差止請求に係る訴えによることは不適法
 
<解説>
東京地裁H13.7.12は
非弁提携の非行事実が疑われる会員弁護士について弁護士会がその綱紀委員会に命じた調査命令に対して、対象弁護士より独禁法24条に基づく差止請求がなされた事案につき、
調査の対象とされることによって受ける不利益は同条にいう「著しい損害」であるとは評価できないなどとして請求を棄却。 

判例時報2361

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