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2018年4月12日 (木)

民法941条1項の規定に基づく財産分離の可否

最高裁H29.11.28       
 
<事案>
被相続人Aの成年後見人であったXが、後見事務において立て替えた費用等につきAに対して債権を有するなどと主張し、民法941条1項に基づき、Aの相続人であるY及びBの財産からAの相続財産を分離する旨の家事審判を申し立てた。 
 
<規定>
民法 第941条(相続債権者又は受遺者の請求による財産分離)
相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から三箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。
2 家庭裁判所が前項の請求によって財産分離を命じたときは、その請求をした者は、五日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
3 前項の規定による公告は、官報に掲載してする。
 
<原審>
民法941条1項の財産分離について、相続人の固有財産が債務超過の状態にある場合又は近い将来において債務超過となるおそれがある場合に相続財産と相続人の固有財産の混合によって相続債権者等の債権回収に不利益をを生ずることを防止するための制度

家裁は同項の定める形式的要件が具備されていることに加えて、
前記の意味における財産分離の必要性が認められる場合にこれを命じることができる。

このような財産分離の必要性について審理することなく財産分離を命じた原々審判には審理不尽の違法がある。
   
Xが抗告許可の申立てをし、原審が抗告を許可。
 
<判断>
民法941条1項の規定する財産分離の制度は、相続財産と相続人の固有財産とが混同することによって相続債権者又は受遺者(「相続債権者等」)がその債券緒回収について不利益を被ることを防止するために、相続財産と相続人の固有財産とを分離して、相続債権者等が、相続財産について相続人の債権者に先だって弁済を受けることができるようにしたもの。

家庭裁判所は、相続人がその固有財産について債務超過の状態にあり又はそのような状態に陥るおそれがあることなどから、相続財産と相続人の固有財産とが混合することによって相続債権者等がその債権の全部又は一部の弁済を受けることが困難となるおそれがあると認められる場合に、民法941条1項の規定に基づき、財産分離を命ずることができるものと解するのが相当。 
 
<解説>
民法は、財産分離について、
①相続債権者等がイニシアティブをとるもの(民法941条~949条)(第1種財産分離)と
②相続人の固有の債権者がイニシアティブをとるもの(民法950条)(第2種財産分離)
を規定。 

第1種財産分離が命じられる⇒相続債権者等は、相続財産について、相続人の債権に先だって弁済を受けることができるが(民法942条)、相続財産をもって全部の弁済を受けることができなかった場合に、相続人の固有財産にも権利行使をすることができるものの、相続人の債権者に劣後する(民法948条)。

判例時報2359

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